東京23区の不動産売却の動向!データから読み解く現状と将来展望

東京23区の不動産市況は、常に時勢に合わせて変化し続けています。過去数年間、この地域では需給バランスの変動や価格上昇が見られました。

最近では、新築マンションの価格がバブルを超えたといわれるほどです。新型コロナパンデミックの影響や外国人投資家の動向など、多くの要因が市場に影響を与え続けています。

本記事では、最新のデータを分析し、東京23区の不動産売却市場の現状を解説します。

さらに、将来の展望についても探ります。 需要と供給の関係、政府の政策変更、そして経済の動向がどのように市場に影響を与えるかを明らかにし、不動産売却を検討中の方や投資家が将来に備えるための洞察を提供します。

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目次

 【データから読み解く】東京23区全体における不動産売却市況

人気が高い東京23区においては、不動産市況の動きが大きく、再開発の動きも目まぐるしいほどです。 東京23区の不動産市況を、「中古マンション」「土地」「中古戸建」の3カテゴリーに分けて解説します。

中古マンション売却

東日本不動産流通機構(REINS)のデータによると、首都圏における2013~2023年度の中古マンションの成約状況は以下のとおりです。

年度単価(平方メートル)平均成約価格
 (万円)前年比(%)(万円)前年比(%)
201340.585.72,6143.9
201443.417.02,7896.7
201545.945.82,9325.1
201648.435.43,0785.0
201750.634.53,2535.7
201852.002.73,3543.1
201953.953.83,4783.7
202056.144.13,6685.5
202161.369.33,9497.7
202268.5511.74,34310.0
202373.677.54,7008.2
参照:REINS「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」

年々、価格が上昇していることを示しています。

21~22年度にかけては、前年比11.7%と2桁台も高騰しました。

首都圏のうち東京23区に限ると、23年度の平方メートル単価と平均成約価格は以下のとおりです。

年度件数単価(平方メートル)平均成約価格
(万円)前年比(%)(万円)前年比(%)
20239万5,985件 (首都圏全体では 19万6,431件)106.294.45,3925.6

23区は平方メートル単価・価格ともに突出しています。

成約件数を見ても、首都圏全体の半数近くに迫る勢いであり、需要の高さが伺えます。

土地売却

国土交通省のデータによると、令和2~6年度の地価変動率は以下のとおりです。

 令和2年令和3年令和4年令和5年令和6年
変動率
住宅地4.6-0.51.53.45.4
商業地8.5-2.10.73.67.0
参照:国土交通省「令和6年地価公示の概要」

令和3年度で一時的にマイナスとなったものの、直近では3年連続で地価が上昇しています。

住宅地・商業地ともに、23区の土地売却価格は盛況です。

なお過去数年分の平方メートル単価を比較した結果は以下のとおりです。

 平成25年平成28年令和2年令和5年
平方メートル単価
住宅地47万8,00052万4,10060万1,30066万5,300
商業地194万8,900236万8,900301万0,000312万5,300
参照:東京都財務局「地価公示 区市町村別用途別 平均価格の推移」

住宅地・商業地ともに、単価が高くなっています。

平成25年と令和5年を比較すると、住宅地で約139%、商業地で約160%も上昇しました。

中古戸建て売却

東日本不動産流通機構(REINS)のデータによると、首都圏における2013~2023年度の中古戸建て成約状況は以下のとおりです。

年度平均成約価格 (万円)前年比(%)
20132,920-0.2
20142,9581.3
20153,0041.5
20163,0351.1
20173,1112.5
20183,111-0.0
20193,1170.2
20203,1992.3
20213,52410.2
20223,8017.9
20233,8731.9
参照:REINS「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」

中古マンション同様、戸建てにおいても右肩上がりに成約価格が伸びています。

23に限ると、2023年度の成約状況は以下のとおりです。

年度件数平均成約価格
(万円)前年比(%)
20232,406件 (首都圏全体は 1万3,160件)6,562-0.8

前年比ではマイナスとなりましたが、首都圏全体と比べると、約2,700万円の差が出ました。

戸建てについても、23区が頭一つ抜けて高い不動産価値をたたき出しています。

東京23区の不動産売却価格ランキング

ここからは東京23区の不動産売却価格ランキングをご紹介します。 土地と建物両方における2023年度のデータを見ていきましょう。

不動産売却【土地編】

国土交通省の令和5年都道府県地価調査によると、東京23区における土地平均価格ランキングは下表のとおりです。

順位区名平均価格 (平方メートル単価)
1千代田区319万2,500円
2港区212万9,000円
3中央区131万7,500円
4渋谷区126万2,800円
5文京区103万2,100円
6目黒区89万6,400円
7品川区88万4,700円
8新宿区80万2,800円
9豊島区72万円
10台東区69万3,000円
11世田谷区63万9,900
12中野区61万9,000
13杉並区61万8,500
14荒川区60万6,500
15江東区55万8,000
16北区54万4,600
17大田区49万3,400
18墨田区46万1,600
19板橋区45万8,200
20練馬区39万4,600
21江戸川区37万0,500
22足立区35万3,100
23葛飾区33万0,500
参照:国土交通省「令和5年都道府県地価調査」第6表

同じ東京23区のなかでも大きな単価差があります。

住宅地価格がもっとも高いのは「千代田区」

2023年度における土地単価がもっとも高いのは「千代田区」でした。

千代田区は、「中央区」「港区」「渋谷区」などと同様、平均価格が抜きんでて高いです。

千代田区にはかつて大名屋敷があった名残か、交通網整備がいち早く行われ、交通利便性の高さが特徴です。

実際、東京駅や秋葉原駅など利用者数が非常に多い駅も所在します。

また、皇居や国会議事堂・霞が関など政治の要所もあり、東京のなかでも中心地的な存在といえるでしょう。

このような背景が土地価格に反映されているといえます。

価格上昇が顕著な区は「豊島区」

価格の伸び率という観点では、6.2%で「豊島区」が1位でした。

豊島区も交通利便性が高く、代表的存在である池袋駅は利用者数がもっとも多い駅の一つです。

周辺はビジネス街また商業地として栄えており、人の動きが常に多くあります。

駅の周辺では再開発計画が進行しており、今後の発展が見込まれることからも、土地価格が上昇したのかもしれません。

不動産売却【住宅編】

住宅における不動産売却ランキングは以下のとおりです。

 宅地(土地と建物)中古マンションなど
順位区名取引価格 (百万円)区名取引価格 (百万円)
1千代田区973港区103
2港区896渋谷区87
3渋谷区549千代田区83
4中央区456中央区78
5新宿区308目黒区73
6台東区259品川区69
7文京区220文京区65
8目黒区204江東区65
9世田谷区165世田谷区64
10豊島区165新宿区61
11江東区163豊島区51
12品川区163中野区51
13墨田区147杉並区51
14中野区133台東区50
15荒川区125北区49
16杉並区114大田区47
17大田区113荒川区46
18練馬区104墨田区45
19板橋区99練馬区43
20北区98江戸川区43
21江戸川区83板橋区39
22足立区74足立区36
23葛飾区73葛飾区35
参照:国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(2023年第1四半期~2023年第4四半期)

中古マンション等|平均取引総額がもっとも高いのは「港区」

中古マンション等の不動産で人気が高かったのは「港区」でした。

千代田区同様、港区も東京23区のなかで中心的な地域です。

代表的な地域として、六本木や青山・広尾など人気が高い地域を擁しています。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」に代表されるような再開発地域があるほか、JR・東京メトロ・都営地下鉄が往来するなど、交通の便がよいのも魅力です。

別の点として、令和5年度の平方メートル単価は千代田区に続いて2位であり、土地の高さもマンション価格に影響を与えていると考えられます。

宅地|平均取引総額がもっとも高いのは「千代田区」

住宅地における不動産売却(土地と建物)で取引総額がもっとも高い区は「千代田区」です。

前述のとおり千代田区は土地単価が高いため、土地と建物両方を含む宅地取引総額において価格が押し上げられていると考えられます。

【データから読み解く】東京23区における不動産売却の将来展望

東京23区の不動産市況が今後どうなるか気になる方は少なくないでしょう。

将来の展望を推測するのに役立つデータをご紹介します。

東京都の不動産価格は上昇傾向

冒頭でお伝えしたように、土地・中古マンション・中古戸建いずれにおいても、東京23区を含む首都圏の不動産価格はずっと上昇傾向にあります。

23区に限っても同様です。

以下はREINSのサマリーレポートによる、中古マンションと戸建ての成約状況を示すグラフです。

参照:REINS「季報 Market Watch サマリーレポート 2024年1~3月期」

ここ数年の動きを見ると、東京23区の中古マンション成約単価(平方メートル)および中古戸建ての成約価格は、どちらも右肩上がりを示しています。

中古マンションについていえば、成約㎡単価は2013年1~3月期から45期連続を達成するほどです。

現在の状況を鑑みるに、当面上昇傾向は続くと考えられます。

住宅価格高騰の原因として、低金利による住宅需要の増大や、建築費の高騰(円安・ウッドショックなど)といった要素を挙げられますが、状況に変化のないうちは高止まりが予想されます。

東京都における不動産売却市況については、以下の記事でも取り上げています。

11か月連続でプラス!東京の中古マンション成約動向

東京都内の中古マンションの成約件数は、11か月連続で前年比を上回る好調ぶりを示しています。

以下は、中古マンションの成約動向を示す表です。

=2023~24年度=

月度中古マンション
成約件数成約単価㎡万円前年比
41,8121039.2%
32,0671009.3%
21,70810111.5%
11,49910010.3%
121,634986.6%
111,5841017.4%
101,774995.0%
参照:レインズ月例マーケットウオッチ

東京23区:区によって上昇率は異なる

これを23区別に分析して見てみると、価格変動率にばらつきがあることが分かります。東京都23区における2024年、現時点での価格変動率は5.3%です。7%以上の上昇を見せているのは、千代田区、中央区、港区の都心3区3%以下の上昇率となっているのが世田谷区、目黒区、太田区、板橋区、江戸川区などで、価格変動率の2極化現象が見られます。

東京23区の不動産売却で高く売るコツ

本章では、東京23区で高く不動産売却するコツを4つご紹介します。

所有している不動産の状況に合わせて実践するようおすすめします。

高く売れるタイミングを狙う

不動産需要は時期により多少変動があります。

一般的には、新年から春先にかけての時期(1~3月ころ)がねらい目です。

この時期に売り出して売却へつなげられるよう、年末前(11~12月ころ)に売却準備を開始するようおすすめします。

築年数が浅いうちに売却する

下表から分かるとおり、築年数が経過するほど不動産価値は低下します。

築年数平均成約価格(万円)
マンション戸建て
0~5年7,0775,021
6~10年6,6554,733
11~15年5,9324,573
16~20年5,5094,271
21~25年4,8873,919
26~30年3,3443,496
31~35年2,3032,770
36~40年2,6722,763
築41年~2,2602,071
参照:REINS「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」

そのため築年数がまだ浅いなら、早めに売却するとよいでしょう。

なお所有物件がすでに築古である場合は、以下の記事をご参照ください。

不動産や周辺の魅力をアピールする

売りたい物件の魅力を前面に押し出しましょう。

間取りや設備など物件自体の魅力はもちろん、周辺地域の魅力をアピールする方法も有効です。

前述の東京23区ランキングで論じたとおり、立地がよく交通利便性が高い区や、再開発が進んでいる区は人気です。

ほかにも、近場にスーパーや病院・学校などが充実しているエリアも魅力的でしょう。

エリアに精通した地元の不動産会社を選ぶ

不動産があるエリアに精通した、地元不動産会社を選ぶ方法もおすすめです。

該当エリアの魅力をよく知っているほか、そのエリアに興味を示す買主候補について情報を持っている可能性があるからです。

依頼する場合、可能なら「専属専任媒介契約(特定の不動産会社1社のみ媒介してもらう契約)」をおすすめします。

依頼された不動産会社は、売主が他社に同時依頼する可能性がない分、より前向きに媒介業務に取り組むと期待できるからです。

また窓口が単一になって、手続きもシンプルになる点もメリットです。

高値売却のコツについてさらに詳しくは、以下の記事もご覧ください。

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まとめ

データが示すところによると、区によって差がありますが、東京23区の不動産価値は年々高まっています。

中古マンションや中古戸建てでは平均成約価格が上がっており、土地についても地価が上昇しています。

その背景として、低金利や建築費の高騰などが挙げられるでしょう。

東京23区での売却を有利に進めたい場合は、ぜひご紹介した4つのコツを実践してください。

それとともに、信頼できる不動産会社へのサポート依頼が大切です。

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手不動産仲介会社に就職。
5年間勤めた後、建売会社で2年間仕入れ営業を経験した後に、クルーズカンパニーへ入社。
主に広報活動や執筆活動を担当しています。
出身地:群馬県
家族:妻 長女 長男
趣味:キャンプ カメラ 釣り

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