マンション売却の際には、買取と仲介のどちらが最適かの検討は重要です。
買取は、迅速な売却が可能であり、手間のかからないメリットがあります。
一方仲介は、市場価値を最大限に引き出せ、価格交渉の余地も広がります。
どちらの方法を選択するかは、個々の状況やニーズによって異なるでしょう。
売却の急務や手続きの煩雑さを避けたい場合は買取が適しています。
しかし、より売却益を高くしたい場合は、仲介を検討すべきです。
さらに、物件の状態や地域の需要も考慮に入れる必要があります。
本記事では専門家の観点から、買取と仲介のメリットとデメリットを比較し、目標に合った選択を見極めるコツを伝授します。
マンション売却における買取と仲介の基本的な違い
買取と仲介は、どちらも不動産業者と交わす売却契約ですが、以下のような違いがあります。
項目 | 買取 | 仲介 |
売却先 | 不動産業者(買取対応業者) | メインは個人 |
売却の確実性 | 高め | 物件による |
売却までの期間 | 数週間 | 3ヵ月~1年超 |
売却の手間 | 少なめ | 多め |
仲介手数料 | 無 | 有 |
売却額 | 市場価格の8割前後 | 市場価格 |
(不動産売買契約の内容に合う不動産を買主に引き渡す義務) | 契約不適合責任基本的に免責 | 売主の責務あり |
買取の特徴
買取は、不動産業者に不動産を買い取ってもらう売却方法です。
不動産業者は、買い取った不動産を再販して利益を出します。
買取業者の中には、買取業務を専門に行う、仲介と買取業務の両方を行う業者があります。
仲介の特徴
仲介は、不動産業者の営業を通じて、第三者(主に個人)の買主を探してもらう売却方法です。
不動産業者は、売主と買主の仲介役として機能し、不動産サイトやチラシ広告などを駆使して契約に結びつけます。
仲介契約には3つのタイプがあります。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
複数会社への仲介依頼 | 可能 | 不可 | |
(自身でも買主を探す取引) | 自己発見取引可能 | 不可 | |
(REINS)への登録 | 東日本不動産流通機構義務なし (任意登録可能) | 義務あり (契約後7日以内) | 義務あり (契約後5日以内) |
売却活動報告義務 | 義務なし | 14日に1回以上 | 7日に1回以上 |
なお最初に仲介業務を依頼し、売れなかった場合に不動産業者で買い取ってもらう方法もあります。
この形態のサービスは「買取保証付き仲介」と呼ばれます。
マンション売却!買取のメリット・デメリット
マンション売却を進めるうえで、買取を使うメリット・デメリットにはどんな点があるのか解説します。
双方を比較し、自身の状況に見合った選択肢かどうかを検討してください。
買取のメリット
買取による売却には、以下のメリットがあります。
・売れ残りにくい
不動産業者に引き取ってもらう契約をするため、買取の合意さえあれば売れ残らないケースが一般的です。
・短期売却が可能
順調にいけば数日~数週間で売却できる可能性があります。
・内覧やクリーニングなどについて考えなくてよい
不動産業者が自社対応してくれることも多いため、売主側の手間は少なめです。
・契約不適合責任を問われにくい 不動産の状態を見極められるプロに売却するため、不動産の欠陥や不具合に関して基本的には責任を負いません。
買取のデメリット
買取による売却には、以下のデメリットがあります。
・売却額が仲介よりも低くなる
市場価格の8割程度まで目減りする可能性があります。
買取をする業者は再販して利益を出さなければならず、低めに仕入れる必要があるからです。
・物件の状況によっては買い取ってもらえないケースもありえる
仲介よりも売却できる可能性は高いですが、再販の可能性が低い物件など、状況によっては買い取ってもらえないケースもあります。
マンション売却!仲介のメリット・デメリット
仲介は買取よりも一般的なマンション売却方法ですが、メリット・デメリットを事前に知っておく必要があります。
買取のメリット・デメリットと比較して、どちらが自身によりマッチする方法なのか検討してください。
仲介のメリット
仲介による売却には、以下のメリットがあります。
・買取よりも売却額が高くなる
買取のように不動産業者が再販するわけではなく、直接買主に売却できるため、市場価格での取引が期待できます。
・幅広い買主候補を対象に売却できる
買取の場合は、対応する不動産業者のみが売却相手ですが、仲介では不特定多数の買い主候補が存在します。
候補が多ければ、売り出し価格や最終売却額に関して交渉の余地が大きくなるでしょう。
仲介のデメリット
仲介による売却には、以下のデメリットがあります。
・売却に時間がかかる
物件にもよりますが、3カ月以上、ときには1年以上かかることも珍しくありません。
・内覧など売却の手間や対応が必要
不特定多数の買主を対象にする分、内覧対応に追われる可能性もあります。
・契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が問われる
不動産に問題がある場合、売主が責任を負います。
マンション売却の流れ
マンション売却の流れを、買取と仲介別に解説します。 流れをつかんでおくことで、売却プランをイメージしやすくなります。
買取による売却の流れ
買取での売却フローは以下のとおりです。
1.相場確認
地価や周辺の不動産成約情報を調べて、不動産の相場を知ります。
- 買取対応不動産業者の選定
実績や資本力・評判などを調べて、信頼できそうな会社を選びます。
複数候補を選んでもよいでしょう。
- 査定依頼
選定した会社に簡易査定を依頼し、不動産の状況や売却に関する希望事項などを伝えます。
4.現地調査
さらに詳しい調査をしてほしい場合は現地調査を依頼します。
担当者はマンションの状態や周辺環境などを実地調査します。
5.売買契約の締結
買取依頼する会社を決め、契約します。
必要書類やタイムスケジュールなども確認し、重要事項説明書に同意後、サインします。
6.決済と引き渡し
不動産業者からの入金を受けたらマンションを引き渡します。
仲介による売却の流れ
仲介の流れは、おおむね以下のとおりです。
1.相場確認
相場を事前に確認しておくと不動産業者との話し合いが効率的になります。
- 不動産業者の選定
仲介業務において実績や評判に優れる会社を選びます。
- 査定依頼
選定した会社に簡易査定を依頼し、不動産の状況や売却に関する希望事項などを伝えます。
4.現地調査
マンションを訪問してもらい、おおよその販売可能額を聞きます。
5.媒介契約の締結
査定額やその他契約条件を確認し、媒介契約を結びます。
6.売却活動
不動産業者は不動産の広告を打ったり内覧セッティングをしたりなど売却活動を進めます。
7.売買契約の締結
買主が見つかり条件に合意したら売買契約を交わします。
- 決済と引き渡し
売主は売却額を受け取り、マンションを引き渡します。
買主は所有権移転登記を行います。
不動産業者選びについては、以下の記事も参考になります。
買取と仲介の選択を見極めるポイント
買取と仲介どちらで売却するか迷う場合もあるでしょう。
迷った場合の判断ポイントを3つご紹介します。
売却の急務度と手続きの煩雑さ
急いで売る必要があるなら「買取」がおすすめです。
人気物件で売却額が妥当であれば仲介でもすぐ決まるかもしれませんが、一般的に買取のほうがスピーディーです。
また、買主探しや内覧対応などの手続きがなくシンプルです。
市場価値と価格交渉の余地
少しでも高く売りたい場合は「仲介」が有利です。
繰り返しますが、買取は2割前後安くなってしまう可能性があります。
多くの買い手候補に広告を打つほうが、希望価格で売れやすいでしょう。
また、値引きを想定した価格にすることで、価格交渉の余地を残せます。
マンションに大きなマイナスポイントがない限り、相場から大きく外れない価格で買ってもらえると期待できます。
個々の状況やニーズに合わせる
マンションの状況や売主のニーズを加味して判断する必要もあります。
たとえば築年数が相当経過しているマンションでは、市場価値が大きく下がっており、買い手がなかなか現れないおそれもあります。
急いで売る必要がないために仲介を選んだものの、「売れないまま時間だけが過ぎる」ケースも珍しくないでしょう。
そのままずっと不動産を維持していれば、固定資産税の支払いや築年数による市場価値の低下など、売主にとって不利な状況を招きかねません。
この場合、一定期間までに仲介で販売できなかったら、不動産業者に買い取ってもらう方法を検討するとよいでしょう。
マンション売却!買取がおすすめのケース
買取がおすすめのケースを4つご紹介します。
先ほど解説したメリット・デメリットを総合的に踏まえると、以下のような方におすすめです。
確実に売却したい
買取は仲介より売却の確実性が高いです。
仲介で売れ残った物件でも、買取であれば売れる可能性があります。
立地や周辺環境の問題などで買主候補が現れにくいのであれば、売却額を少し落としてでも買い取ってもらうほうが、最終的によい可能性があります。
また仲介手数料が発生しないため、高額な物件の場合には有効な売り方といえるかもしれません。
契約不履行を防ぎたい
買取の場合、マンションを売却したあとで何らかの問題が発覚しても、一般的に売主の責任は免除されます。
買主は個人ではなく不動産取引のプロであるため、不動産が抱えているかもしれないマイナス要素について、売主が心配することはありません。
築古物件など、瑕疵の存在する可能性が高い不動産を売却する場合、このメリットは大きく影響するでしょう。
別の点として、買主が個人の場合、住宅ローンの審査に落ちるなどして契約が解除されるケースもあります。
この点不動産取引のプロが直接買う場合は、そのような心配が少ないといえます。
オーナーチェンジ物件
売主が賃貸物件のオーナーであり、別のオーナーに物件売却を考えている場合も、買取が現実的な選択肢になります。
このタイプの物件は、一般的な居住目的の物件購入よりも買主が現れにくいからです。
買主は新オーナーになりますが、すぐに家賃引き上げを実行できるとは限りません。
入居者からの合意が得られにくい場合もあるほか、入居者の退去につながる恐れもあります。
そのため買主は購入時に、現在の利回りを重視するでしょう。
利回りがよければ買主は見つかりますが、そうでない場合は候補を見つけにくいかもしれません。
この点買取であれば、不動産運用に長けた不動産業者が買主候補となるため、売却しやすいといえます。
物件のコンディションが悪い
物件のコンディションが以下のように悪い場合、買取のほうが売却しやすいでしょう。
・築古物件で耐久性や耐震性に不安がある
・室内の状態が悪い
・残置物が多くある
・事故やトラブルがあった
売却予定のマンションにこのような不安要素がある場合は、買取も選択肢に入れるとよいでしょう。
マンション売却!仲介がおすすめのケース
マンションの状況や売主のスタンスによっては、仲介がベストアンサーであるケースもあります。
仲介をおすすめする3つのケースをご紹介します。
できるだけ高値で売却したいとき
前述のとおり、仲介による売却は市場価格での売却を期待できるため、高値を望む方におすすめの方法です。
実際に高く売れるかどうかは不動産の状況によりますが、大きな問題がなく、周辺で似たような物件が売れているのであれば、仲介から始める選択肢もあります。
高値売却のコツについて知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
立地や周辺環境に恵まれている
所有するマンションの立地や周辺環境が優れている場合、市場価値は高くなります。
たとえば東京23区の中古マンションや戸建ては首都圏のなかでも成約価格が高く、人気のほどがうかがえます。
「交通利便性に優れている」「近くにスーパーや病院が多い」など、おのずと買主候補が現れやすい不動産であれば、わざわざ価格を下げて買い取ってもらう必要はないでしょう。
23区における不動産売却を検討している方は、以下の記事もお役立てください。
築年数が比較的新しいマンションを売るとき
築年数が浅めのマンションを売却する場合も、仲介が適しています。
築年数が浅い物件は、市場価値が低下しにくいからです。
東日本不動産流通機構(REINS)のデータによると、首都圏の中古マンションの場合、築年数が浅いと明らかに高く売れやすいです。
築年数 | 平均成約価格(万円) |
マンション | |
0~5年 | 7,077 |
6~10年 | 6,655 |
11~15年 | 5,932 |
16~20年 | 5,509 |
21~25年 | 4,887 |
26~30年 | 3,344 |
31~35年 | 2,303 |
36~40年 | 2,672 |
築41年~ | 2,260 |
築年数が経過したマンションの売却ノウハウについては、以下の記事もお読みください。
買取より安くなる⁉不動産転売業者に注意
不動産買取業者の中には、自社で再販するのではなく、ほかの第三者へ転売する目的で買い取る業者もあります。
転売目的での買取に違法性はありません。
しかし買取業者の中には、利ザヤを抜くために売主から安く買いたたき、別の宅建業者に高額で売る悪質な業者もいるようです。
業者は「仲介だと売れないが自分たちが買い取るから大丈夫」などといって、半ば強引に買取へ誘導するかもしれません。
あるいは最初に仲介で売却するものの、わずかな時間しか経っていないタイミングで「この値段では売れないから買取にする」などという可能性も考えられます。
本来期待できる額よりも大幅に安く買い取られないよう、売主は自分でも相場をよく調べておくようにしましょう。
相場の調べ方については、以下の記事が参考になります。
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まとめ
マンションの売却方法には買取と仲介があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。
希望する売却スピードや売却額をはじめ、マンションの状況も踏まえつつ、ベストな方法を選んでください。
ある程度時間に余裕があって、できるだけ高く売りたいと思うなら、買取保証付き仲介を不動産業者に依頼する手もあります。
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