不動産売却の相場の調べ方?自分でもできるオンラインツールの活用法!

不動産売却の準備をするうえで「相場の調べ方」を把握することは重要です。

売りたい不動産の相場価格が分かると、住み替え時の資金計画や売り出し価格の設定、課税額などを想定するうえで参考材料になります。

相場価格は自分でも調べられます。

本記事では、相場価格を調べる方法を複数ご紹介し、売却を検討している人をサポートします。 また不動産を相場よりも高く売るコツや、2024年が不動産の売り時かどうかを示すデータも解説。売却で損をしたくない人に役立つ情報をお届けします。

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目次

不動産売却における「相場価格」とは

相場価格の調べ方をご紹介する前に、かんたんに相場価格について解説します。

そのニュアンスや似た言葉との違いが分かると、売却のイメージを鮮明にしやすいでしょう。 また相場価格を知っておくべき理由についても解説します。

相場価格とは「予想される不動産の売却可能額」

相場価格とは、「過去の売却事例などをもとに予想される不動産取引額」です。

相場価格に似た言葉として「売り出し価格」や「査定価格」がありますが、違いは以下のとおりです。

・査定価格=不動産会社が見込む「売り出しから3カ月程度で売れるだろう」と予測する価格

・売り出し価格=売主が設定する最初の不動産販売価格

不動産会社は、相場を考慮しつつ不動産の査定を行い、「○○○○万円くらいで売れる可能性がある」と判断します。

売主は査定価格を参考にしつつ、自身の希望も反映して売り出し価格を決定します。

査定価格の注意点として、良心的でない不動産会社は、売却の仲介業務を得ようとして、相場より高い査定価格を提示するかもしれません。

しかし現実的でない査定価格を参考に売り出し価格を決めてしまうと、成約が難しくなる恐れもあります。 このような問題を避けるには、信頼できる不動産会社に査定してもらうことがポイントです。

相場価格を知っておくべき理由

売主が相場価格を知っておくとよい理由は、売り出し価格の見当をつけやすいからです。

相場が分かれば「○○万円くらいで売れそうだから、売り出し価格は○○万円くらいにしよう」と現実的な予想を立てられます。

不動産会社の査定価格も参考になりますが、前述のとおり査定価格の乖離が起きる恐れもゼロではないため、自身でも把握しておくことが望まれます。

資金計画を立てやすくなることも、相場価格を知っておくべき理由です。

住み替えの場合、旧居の売却額の目安が分かると、新居の購入予算を立てる際の参考材料になります。

不動産売却の相場をオンラインツールを活用して自分で調べる方法

不動産売却の相場価格を調べる方法はいろいろありますが、オンラインツールを活用すると便利です。

オンラインツールであれば多忙な人でも使いやすく、売却計画を進めていく助けになります。 信頼できるオンラインツールをいくつかご紹介しましょう。

【国土交通省】不動産情報ライブラリで調べる

不動産情報ライブラリは国土交通省が運営するサイトです。

本サイトでは、不動産の取引価格や地価公示などの価格情報に加え、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報など不動産に関するさまざまな情報を得られます。

不動産価格については、特定エリアにおける実際の価格情報を検索可能です。

たとえば「東京都台東区寿」と検索すると、この地域における以下のような情報を抽出できます。

・不動産取引価格情報(取引当事者のアンケート調査)

・成約価格情報

・地域(住宅地・商業地・工業地など)

・最寄駅と距離

・取引総額

・坪単価

・面積

・㎡単価

・形状(整形・台形・長方形・不整形など)

・延べ床面積

・建築年

・構造(SRC・RC・鉄骨造・木造など)

・用途(住宅・共同住宅など)

不動産の種類(土地・中古マンション・農地など)や時期も指定可能で、所有する不動産に近い情報を得やすいでしょう。

日本地図から該当情報を探せるなどビジュアル面での使いやすさも評価できます。

参照:国土交通省「不動産情報ライブラリ」

シミュレーションサイトで調べる

大手不動産会社が運営するサイトで不動産査定シミュレーションツールを使う方法も有効です。

全国の戸建て・マンション情報を調べられます。

不動産の所在地や不動産情報(面積・築年数・購入価格など)、売却希望時期を入力すると、以下の情報を得られます。

・想定売却価格

・売却費用(仲介手数料や税金など)

・手取り額

・売却希望時期と今売る場合の差額

各社のポータルサイトで活用できるシミュレーションページで、マンションの参考価格を調べたい場合に便利です。

エリアもしくはキーワード(住所やマンション名など)から検索すると、参考価格から該当情報を探せます。大きな特徴は、検索結果を地図上で参照できることです。

建物階数や築年数などを入力してAIによる参考価格を算出してもらうことも可能です。

レインズマーケットインフォメーションで調べる

レインズマーケットインフォメーション(REINS Market Information)は、公益法人「不動産流通機構」が運営する不動産ネットワーク「REINS」のツールです。

本機構は国土交通省が指定する機関であり、信頼度が高いといえます。

2024年4月時点での検索対象取引情報は約36万9,000件と、豊富な情報量をほこります。

マンションと戸建それぞれで、都道府県・地域・建物種別を選択して、特定地域における実際の取引情報を閲覧可能です。

※沿線や最寄駅・間取り・築年数・価格上/下限など追加検索も可能。

たとえば「東京都多摩北部」と絞り込むと、以下のような項目を抽出できます。

・沿線

・最寄駅

・駅からの距離

・所在

・価格

・専有面積

・間取り

・改装状態

・築年

・構造

・成約時期(3カ月以内・6カ月以内・1年以内)

・用途地域(一種住居・二種住居・近隣商業・商業・工業・一種中高層など)

直近1年における取引情報(築年数と価格)をグラフで視覚的に表示したり、項目別に検索結果を並び替えたりと、情報を分かりやすく整理できます。

参照:レインズ「REINS Market Information」

不動産売却の相場価格を調べる際の注意点

ここからは、不動産売却時に相場価格を調べる際、最低限留意しておくべきポイントをお伝えします。 売り出し価格の設定やリノベーションをどうするか悩んでいる人は参考にしてください。

売り出し価格は成約価格とは限らない

売り出し価格はあくまで売主が設定する販売開始価格に過ぎず、その額で売買が成立するとは限りません。

一般的には、売り出し価格をもとに売主と買主間で交渉が行われ、いくらか値引きして成約するパターンが多いようです。

そのため新規登録価格と成約価格を比較すると、後者の価格が低い傾向にあります。

とはいえ首都圏などマンション価格が高騰している昨今では、成約価格が上回るケースもあります。 下表は首都圏の中古マンションの、新規登録価格(㎡単価)と成約価格(㎡単価)に関するREINSの月例速報をまとめた結果です。

年月㎡毎の新規登録価格
(万円)
㎡毎の成約額
(万円)
差額
(万円)
2023年3月72.3869.832.55
4月73.7570.173.58
5月71.9470.950.99
6月72.6972.270.42
7月71.6171.920.31
8月71.7774.082.31
9月72.7872.440.34
10月72.1574.552.4
11月72.6274.982.36
12月74.2374.820.59
2024年1月73.9375.982.05
2月74.2375.521.29
3月73.8175.882.07
参照:REINS「月例速報 Market Watchサマリーレポート2024年3月度」

2023年上半期では新規登録価格が上回っていますが、下半期から2024年3月にかけては成約価格が高くなっています。 このように売り出し価格と成約価格にはある程度差が出ます。

記載価格は売主の希望価格

不動産情報などの価格情報に記載されている金額は、基本的に売り主の希望価格(売り出し価格)です。

販売されている不動産の価格情報を見ても、相場価格が反映されているわけではありません。

「競合の不動産会社が○○○○万円で販売しているから、自分も同じ売り出し価格にしよう」と単純に価格設定すると、相場価格にそぐわない高値をつけてしまう可能性があります。

リノベーション物件は一般物件より相場が高い

リノベーション物件は、リフォームよりも大規模に改修した物件です。

費用は不動産の種類により変動しますが、目安はおおむね「15~22万円/㎡」と思われます。

大きな費用がかかる分、リノベーション物件は未改修物件と比較して相場が高くなる傾向です。

自分のマンションと同じような物件があっても、リノベーションの有無により査定額が異なる可能性もあるため、安易に同じ売り出し価格は設定できません。

なお売却にあたってリノベーションするかどうかは慎重に考えることが重要です。

リノベーションすると物件はきれいになりますが、費用をそのまま売却希望額に上乗せすると割高になって売却時期を遅めかねません。

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不動産売却の相場価格に影響する要素とは?

不動産売却の相場価格は、さまざまな要素に左右されます。

相場価格の把握に役立ついくつかの要素をご紹介します。

新築からの築年数

一般的に築年数が古いほど価格は下がります。

特に耐用年数が短い木造は、鉄筋コンクリート造の建物と比べると、下落率が大きいでしょう。

築年数が古いマンションの売却について詳しくは、以下の記事もご覧ください。

立地や周辺の環境

不動産の購入を考える人の多くは、少なからず立地を重視します。

「駅から近い」「交通網が発達している」など立地が優れていれば、相場価格は高くなると考えられます。 またスーパーやコンビニ・学校・病院・公的施設が周辺に充実しているなど、生活環境が優れた場所に所在している場合も、やはり相場価格は高い傾向にあるようです。

修繕履歴や大規模修繕の有無

築年数が古くても、しっかりメンテナンスされていれば、ある程度の資産価値を見込めます。

マンションの場合、一般的に12~15年程度の周期で大規模修繕が行われるでしょう。

さらにリフォームやリノベーションが実施されている場合は、付加価値がついて相場は高くなりやすいといえます。

周辺の物件の取引価格

不動産ごとに評価額は異なるとはいえ、周辺の取引価格も少なからず相場価格を左右します。

同じ地域で、同じような条件の中古マンションがいくらで取引されているかにより、自分のマンションの相場価格も一定のレンジに定まってくるでしょう。 実際、公示地価(国土交通省の土地鑑定委員会が公示する標準地の価格)を算定するときには、周辺の取引価格について付近の不動産会社から情報が集められるといわれています。

社会情勢と金利動向

不動産価格は、世の中の動きにも影響されます。

国際情勢に不安要素があると、価格高騰を引き起こす可能性があります。

たとえば住宅の資材を輸入している国で政情不安が起きると、原材料の高騰が発生し、住宅価格が上がるかもしれません。

経済的要因では、たとえば金利動向も影響を与えます。

金利の低下は銀行からの借り入れがしやすくなるため、住宅購入のハードルが下がります。

そうなると不動産売買が活発になり、価格の上昇を招くでしょう。

一方金利の上昇は住宅ローン金利が上がることから、不動産需要が下火になり価格の低下を招きます。

不動産売却は不動産エージェントを活用する

不動産売却を考えている場合、プロセスを円滑に進めるには「不動産エージェント」のサポートが役立ちます。

不動産エージェントとは、不動産売買や賃貸借契約などの代理人を務めるアドバイザーです。多くの不動産会社にも在籍しています。

相場をはじめ不動産情報の収集や売却プランの立案・取引相手との交渉など、売却フローをサポートしてくれるでしょう。 「自分では分からないことだらけで不安」という場合には、プロのアドバイスが重宝されます。

一括査定サイトよりもエージェントがおすすめの理由

複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定サイトは便利です。

とはいえ不動産エージェントと比較して以下の懸念があります。

・査定元から多くの営業電話がかかってくる場合もある

・ライバルを意識して相場よりも高い査定価格で釣ってくる不動産会社が現れるかもしれない

やみくもに不特定多数の不動産会社とコンタクトを取るのではなく、実績や信頼性に評価がある不動産エージェントと「顔の見える相談」をするほうが落ち着いて検討できるでしょう。

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まとめ

不動産売却を始めるときは、相場価格の把握が欠かせません。

確度の高い相場を知っていれば、売り出し価格の見当をつけたり、資金計画を立てやすかったりします。

相場の調べ方は難しくありません。

ご紹介したオンラインツールを使えば手軽に情報を得られるため、ぜひ一度所有する不動産の資産価値をシミュレーションしてみてください。

売却の具体的なプロセスや査定の相談は、信頼できる不動産会社の助けを借りるとスムーズです。

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手不動産仲介会社に就職。
5年間勤めた後、建売会社で2年間仕入れ営業を経験した後に、クルーズカンパニーへ入社。
主に広報活動や執筆活動を担当しています。
出身地:群馬県
家族:妻 長女 長男
趣味:キャンプ カメラ 釣り

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