築30年経った区分マンションの売却は、時に難航して売れないケースがあります。
しかし適切なアプローチと戦略を立てることで、売却期間の短縮が可能です。
本記事では、築30年超マンションの動向と背景にスポットを当て、築古の中古マンション売却に関して利益を最大化する極意をご提供します。
「適切なマーケティング」「売り方」「価格設定」など、成功の鍵を見つけるためのヒントにしてください。
築30年超マンションの動向と背景
REINS(レインズ:東日本不動産流通機構)のデータによると、首都圏で2020~2023年に成約した中古マンションの築年帯別構成比率(%)は下表のとおりです。
築年数 | 0~5年 | 6~10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31~35年 | 36~40年 | 41年~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020年 | 9.6 | 14.1 | 16.3 | 14.1 | 11.2 | 7.2 | 6.3 | 7.9 | 13.3 |
2021年 | 9.6 | 14.2 | 14.2 | 13.3 | 11.0 | 8.1 | 7.0 | 8.0 | 14.6 |
2022年 | 9.3 | 14.4 | 12.5 | 13.8 | 10.7 | 7.8 | 7.2 | 7.7 | 16.5 |
2023年 | 9.3 | 13.6 | 11.8 | 13.9 | 11.7 | 7.9 | 6.9 | 7.0 | 18.0 |
築年数31年以上の成約数比率を合計すると、2020年が27.5%、2021年が29.6%、2022年が31.4%、2023年が31.9%と徐々に上昇しています。
また表1には記載していませんが、2013年からのデータを見ると、築31年以上の成約数比率は2023年にかけてずっと上昇傾向です。
このように築年数が古い中古マンションでも、売れる可能性は十分あります。
むしろ「売れ筋は築30年〜40年」という声すらあります。 実は首都圏、特に東京23区における中古マンションが高騰する背景から、価格が大きく下がる築年数の古いマンションに注目が集まっているのです。
【関連記事】 東京都不動産市場の売却価格推移!2024年はマンションの売り時なのか?
築30年のマンションはあと何年住める?
ここでは参考情報として、築30年マンションの資産価値や寿命・耐用年数をご紹介します。
築年数が古くても一定の資産価値があり、長寿命であることを知ると、築30年のマンションの売却が現実的な行為であることが分かります。
築30年のマンションの資産価値 (売買相場)
以下の表は、2023年に成約した中古マンションの築年帯別平均価格(万円)を示したものです。
築年数 | 0~5年 | 6~10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31~35年 | 36~40年 | 41年~ |
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2023年 | 7,077 | 6,655 | 5,932 | 5,509 | 4,887 | 3,344 | 2,303 | 2,672 | 2,260 |
表が示すように、築年数が古いとマンションの資産価値は低くなります。
築30年前後では、当初7,000万円台だった平均価格が2,000万円台にまで下がっています。
その一方で、首都圏における中古マンション全体の価格は年々上昇しています。
レインズが公表している首都圏の中古マンションの平均価格は、新築よりもさらに大きな上昇を記録、2022年の平均価格は4,276万円で前年比10%の上昇、2018年の平均価格3,333万円からは28%と3割に迫る大幅な上昇です。
つまり首都圏の築30年のマンションは資産価値がそれなりに高くつく、といえます。
東京都内のマンション売却は…。
マンションの寿命と耐用年数の違い
マンションの寿命と(法定)耐用年数には以下の違いがあります。
・寿命:建物や設備の老朽化により居住できなくなる状態
・法定耐用年数:国税庁が定める減価償却ができる期間
法定耐用年数が過ぎると税務上の資産価値がなくなったとみなされます。
しかし、寿命を迎えたわけではありません。
国土交通省の資料では、鉄筋コンクリート部材の効用持続年数において、住宅の耐用年数を120年(外装仕上によって延命すると150年)としています。
この点を踏まえると、鉄筋コンクリート造のマンションに関しては、築30年でもまだまだ長期間住めるといえるでしょう。
築30年マンションの売却は難航?
「築30年を超えるマンションは売れ筋」とご紹介しましたが、時に売却を難しくする要素も存在します。
売却に影響を与える可能性がある要素をいくつかご紹介します。
法改正で住宅ローン控除の適用が可能に
2022年度税制改正により、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が緩和されました。
※同控除は、住宅ローンでマイホームを購入すると所得税などが減税される制度。
以前は「非耐火住宅は築20年、耐火住宅は築25年以内」の場合に限り適用できましたが、改正により「昭和57年(1982年)以降に建設された新耐震基準適合住宅」にも適用可能となりました。
2024年から見た場合、昭和57年以降は「築42年のマンション」となるため、築30年のマンションにも控除を適用できる可能性があります。
ただこの緩和は比較的最近の話であるため、十分認識されておらず、それゆえに「築30年のマンションでは控除を使えないからアウト」と思われてしまう可能性もあるでしょう。
耐震性能を気にする人もいる
「中古マンションは地震に弱そう」と不安に思う人がいることも、築30年マンションの売却に影響を与えます。
国土交通省の調査によると、中古集合住宅を選ばなかった理由の5位は「耐震性や断熱性など品質が低そう」でした。
後述するように築30年のマンションは耐震性に関して安心できますが、「古い建物=損壊しやすい」というイメージが一部あるのかもしれません。
設備や外観の古さを気にする人も多い
築30年以上となると、やはり建物や設備の老朽化が少なからず進むでしょう。
見た目が古かったり、設備の機能性が落ちて生活に支障が出たりする恐れがあれば、購入に二の足を踏む可能性が高いです。
前述の国土交通省の調査では、中古集合住宅にしなかった理由の4位は「給排水管などの設備の老朽化を懸念」、6位は「見た目が汚いなど不満だった」と、古さに関係する不安が顕著です。
セキュリティに不安を感じる人も多い
セキュリティ面がそれほど充実していない場合があることも影響すると思われます。
新しいマンションの中には、生体認証やハンズフリー方式のセキュリティなどを導入しているケースが珍しくありません。
一方、古いマンションはセキュリティ対策が行き届いておらず、構造がシンプルでピッキングされやすい鍵が採用されているケースも少なくないようです。 セキュリティをより重視する人の場合、築年数が古いマンションには興味を持たないかもしれません。
実は競合物件が多い
多い競合物件の存在も無視できません。
競合が多ければ売却のハードルは少なからず高くなることが予想されます。
国土交通省のデータでは、2022年末における築40年以上のマンションストック数は約125.7万戸存在します。
またその数は、10年後(2032年末)には約2.1倍の260.8万戸に増加する見込みです。
2032年時点における築40年以上のマンションとは、2024年時点では築30年以上のマンションです。
このように考えると、現在築30年以上であるマンションはかなりの戸数が存在すると推定されます。
築30年のマンションが売れない時の解決策
ここからは築30年マンションの売却を有利に進めるためのポイントをご紹介します。
これから売り出す場合も、売り出してから数カ月経過しても「まだ売れない」というケースも、参考にしてください。
空室状態で売り出す
「空き室にして売り出すと売れやすくなる」といわれます。
これには以下のような理由が考えられます。
・生活感がなくきれいに見える
・内覧者が住んだときのイメージをしやすい
・間取りや部屋のデザインが分かりやすい
・部屋の状態が一目瞭然で内覧者が安心できる
・住んでいなければいつでも内覧に来てもらいやすい
・宣伝用の写真撮影が楽
現在マンションに居住中で、ほかに住むあてがある場合は、物を引き払って空室状態で売りに出すとよいでしょう。
専任媒介で1社に売却を依頼する
「専任媒介契約」で売りに出す方法も有効です。
専任媒介契約とは、特定の不動産会社1社とのみ仲介契約を結ぶことです。
契約先の不動産会社は、売却に成功すれば自社で確実に仲介手数料を取れるため、積極的に販売をしてくれる可能性が高まります。
また専任媒介契約では、不動産情報のインフラである「REINS」への登録が義務であるため、この点でも売買に結びつきやすいです。
瑕疵担保保険を付保してから売る
売りたいマンションに「瑕疵担保保険」を付保することも考えましょう。
「瑕疵担保保険」とは、売却した不動産に瑕疵(欠陥や不具合)が見つかった場合に補修費用をカバーする保険です。
売主が個人のケースでは、「第三者の検査機関」が保証者となり、依頼を受けた検査機関は「保険法人」へ瑕疵保険を申し込む仕組みです。
保険がついていると、マンション購入を考えている買主候補にとって安心材料となるでしょう。
築30年マンション売却時の利益最大化の極意
ここからは、築30年マンションの売却時の利益を最大化するコツをご紹介します。
比較的かんたんに実施できるコツであるため、ぜひ参考にしてください。
リフォームせずに売りに出す
意外に思えるかもしれないが、リフォームしないで売り出すことも売却のコツです。
リフォームすると内部をきれいにできますが、問題はリフォーム費用の回収です。
売主としては、リフォーム費用を不動産の売却価格に転嫁したいと思うでしょう。
しかし費用をそのまま転嫁して売却できるとは限らず、かえって費用がかかった分だけ損するケースもあり得ます。
たとえば相場価格2,400万円のマンションを600万円でリフォームし、費用を上乗せして3,000万円で売り出しても、成約価格は2,600万円くらいになるかもしれません。
また買主の中には「自分好みのリフォームをしたい」という人が多くいます。
以上の点からリフォームしないで売ることも検討するとよいでしょう。
分かりやすいメリットを提示する
マンションの人気は築年数だけで左右されるわけではありません。
付帯価値(そのマンションを買うメリット)にも影響されるため、ここを積極的に押し出すことが大切です。
好立地の物件が多い
「築30年のマンションには好立地な物件が多い」といわれています。
1960年代後半~70年代以降、分譲マンションはどんどん建設されましたが、そのときに好立地の場所が次々と建設地になったことが関係するようです。
「駅から歩いて近い」「付近にスーパーやコンビニが充実している」「病院が近い」「学校まで歩いて通える」などのメリットを押し出すと、古いマンションでも魅力的です。
実際、国土交通省のアンケートによると、マンション購入時に考慮した項目の1~3位は以下のとおりです。
1位:交通利便性
2位:日常の買い物環境
3位:周辺の医療・福祉・教育等の公共公益施設の立地状況
価格が下落しにくい
築30年のマンションは、価格が下がりにくい側面があります。
見出し2-1でご紹介したREINSのデータによると、マンション価格は築30年前後にかけて下落しますが、それ以降は下落しにくい傾向にあります。
この点は買主にとってプラスの情報といえるため、積極的に訴求したい点です。
管理状況を掴める
築30年となると、後述するように大規模修繕が複数回おこなわれている可能性もあるため、管理状況が分かりやすいといえます。
メンテナンス履歴を見ればどのような経緯で管理されてきたかイメージしやすいです。 これまでの経緯が分かると、品質を判断しやすく、安心材料になるでしょう。
敷地の持分(面積)が多く資産価値も高い
一概にはいえませんが、築30年など古めのマンションは、新しいマンションよりも敷地面積が広いといわれています。
築30年前後のマンションが建てられた時代には、比較的土地や建物が安かった分、敷地の広いマンションが多く作られました。
敷地面積が多ければ、その分資産価値は高くなります。 この点を訴求することで、売却を有利に進められるかもしれません。
大規模修繕が済んでいる可能性が高い
古いマンションは周期的に大規模修繕がおこなわれている可能性もあり、古くても安心して住めるといえるでしょう。
大規模修繕は一般的に12~15年周期でおこなわれるケースが多いです。
この場合、築30年では最低2回は実施している計算になります。
多少古くても、塗装や防水材・エントランス・給排水管・電気設備・エレベーターなどがしっかり修繕されていれば、買主としてはプラス材料のハズです。
築30年は新耐震基準をクリアしている
先述のように、築30年マンションの耐震性能には一定の信頼がおけます。
昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を通した建物(築30年のマンションも含む)は、新耐震基準に準じているからです。
「建物の耐震性能」を気にしてマンション購入を考える人が一定数いるため、このような安心材料を伝えると有効でしょう。
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まとめ
築30年のマンションは、築年数が浅いマンションと比較して資産価値が下落します。
しかし近年、とくに大都市圏における資産価値が高まっており、寿命に関しても十分長持ちする築年帯であることもたしかでしょう。
立地や管理のしやすさ、敷地面積の相対的な広さなどのアドバンテージもあります。
本記事でご紹介した利益最大化の極意を実践することで、売却を有利に進められる可能性は高いです。信頼できる不動産会社にサポートを依頼しつつ、ぜひ売却プロセスを加速してください。