マンションを売却する?それとも賃貸?オーナー判断のポイントを解説

マンションの売却と賃貸、どちらがよりよい選択なのかは悩ましい問題です。

不動産オーナーにとっては、重要な判断となるため慎重に判断しなければなりません。

判断には、資産の価値、将来の収益性、個人の状況によって異なる要因が絡みます。

マンションを売却すれば、一時的に大きなキャッシュインは可能ですが、将来的な不動産収入は失われます。

一方、賃貸に出すと安定した収入を期待できますが、管理や入居者探しの負担がかかるでしょう。

本記事では、マンションを売却するか賃貸に出すかの選択について、判断基準・メリット・デメリットを詳しく解説します。

マンションオーナーや不動産投資家の皆さんにとって、資産活用の最適な選択を支援する手助けとなるはずです。

目次

住まなくなった住宅(マンション)の動向

国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、住まなくなったマンションの売却と賃貸の割合は、売却が約70%を占めています。一方で賃貸を選択する方は、過去5年間の平均で1割未満です。

国土交通省の調査結果から、ほとんどの方がマンションの売却を選択していると把握できます。

ただし、売却か賃貸かの判断基準を把握したうえで、どちらが最善か判断しましょう。

仮に、賃貸に出したほうがよいマンションを売りに出す場合、希望価格を下回ってしまうリスクが考えられるからです。

ご自身で売却か賃貸か検討したうえで、売却や賃貸に特化した不動産会社へ相談するのが得策です。

参照:国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査報告書

マンションは売却?賃貸?の判断基準

マンションを売却するか賃貸に出すかの判断基準は、以下の3つです。

①立地条件のよさ

②築年数の古さ

③間取りの広さ それぞれ解説します。

①立地条件のよさ

売却か賃貸かを判断する基準として、立地条件のよさが挙げられます。

たとえば、都心に近く駅まで徒歩5分圏内の地価が高いマンションであれば、売却でも賃貸に出してもよいでしょう。

もしくは、賃貸に出したあとに売却しても高値で売れます

通学・通勤において利便性の高い物件であれば、購入者も入居者も見つかりやすいからです。

国土交通省の調査によると、中古マンションの選択理由として「立地条件がよかったから」と回答した世帯は60.5%におよびます。

一方、都心および駅から距離のあるマンションは、売却したほうが無難です。

立地条件の悪い物件を賃貸に出す場合は、入居者不在の状態で維持費や税金だけを支払う期間が長くなるリスクもあります。

立地条件がよければ、売却もしくは賃貸からお好きなほうを選択し、悪ければ売却するのが得策です。

出典:国土交通省 平成30年度住宅市場動向調査報告書

②築年数の古さ

築年数の古さも、売却か賃貸かの判断基準になります。

賃貸に出すためにリフォーム費用が多くかかる築年数20~30年のマンションは、売却を選択するのが有効でしょう。

築年数が古くなるほど、人気や市場価値の低下にともない空室期間が長引いたり賃料の引き下げも必要になったりするからです。

築年数が20年を超える場合は売却、20年以内であれば賃貸の選択がおすすめです。

あわせて、築年数30年のマンションを売却したい方は、以下の記事も参考にしてください。

③部屋数の多さ

売却か賃貸かを判断する基準として、部屋数の多さも挙げられます。

賃貸に適しているのはワンルームマンション、売却に最適なのは2LDKや3LDKなど部屋数の多いマンションです。

単身世帯であれば、賃料が低くコンパクトな間取りのワンルームマンションが好まれます。

一方、共働き世帯(子どもあり)の場合は、賃貸より購入を検討するケースが大半です。

子どものいる世帯では、子ども部屋・夫婦の寝室・リビングが必要であるため、最低でも2LDKのマンションが好まれます。

実際、国土交通省の調査によると、持家夫婦世帯における持家床面積は100~149㎡が199万世帯で最も多くなっています。

なお、2LDKで約75~100㎡、3LDKでおよそ130㎡です。

ワンルームマンションの場合は賃貸、2LDK以上のマンションは売却を選択するのがよいでしょう。

出典:国土交通省 人の住まい方

マンションを売却する3つのメリット

マンションを売却するメリットは、以下の3つです。
それぞれ解説します。

①まとまった資金を得られる

マンションを売却することで、まとまった資金を得られるメリットがあります。

まとまった資金が得られれば、住み替え時の購入資金や引っ越し費用などに充てられるでしょう。

また、生活環境の変化にともない大きな資金が必要になった際に、リースバックを選択することも可能です。

リースバックとは、不動産売却で現金を得たのち、毎月賃料を支払うことで既存住宅に引き続き住めるサービスのことです。

しかし、マンションの売却価格が安くなる、入居できる契約期間に制限もあるなどの点に注意が必要です。

参照:国土交通省 住宅のリースバックに関するガイドブック

②特例を利用して税金の負担を軽減できる

自宅のマンションを売却すれば、特例を利用して税金の負担を軽減できます。

たとえば、3,000万円特別控除の特例を利用することで、譲渡所得から3,000万円を控除できます。

譲渡所得が3,000万円以内であれば、住民税・所得税・復興特別所得税は課されません。

また、所有期間が10年を超える場合は軽減税率の特例を利用することで、従来の税率20.315%(長期譲渡所得の場合)が14.21%に軽減されます。

3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用可能です。

なお、特例を利用する場合は、確定申告が必須です。

あわせて、不動産売却にともなう税金の支払いタイミングを把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

出典:国税庁 マイホームを売ったときの特例   土地や建物を売ったとき

③管理費や修繕積立金の支払いから解放される

マンションを売却すれば、管理費や修繕積立金の支払いから解放されます

管理費の相場は月額1万3,000円、修繕積立金の相場は月額9,000円程度です。

マンションを売却すれば、これらの支払いから解放されるメリットがあります。

出典:国土交通省 マンション管理の現状等について

マンションを売却する3つのデメリット

マンションを売却する3つのデメリットは、以下のとおりです。
それぞれ解説します。

①住宅ローンを完済する必要がある

基本的に、マンションを売却するためには、住宅ローンを完済する必要があります

住宅ローンが残っている物件には、抵当権が付いているからです。

抵当権とは、住宅ローンの支払いが困難になった際の担保として物件に対して金融機関が設定する権利のことです。

そのためマンションの売却時には、ローンを完済させる手立てを打つ必要があります。

現実的には、首都圏エリアおよび地方の主要都市にあるマンションなら、不動産価格の高騰が続く今であれば、ローン残債より高く売れるケースがほとんどでしょう。

②売却まで半年以上かかるケースがある

マンションの売却には、半年以上の期間を要するケースがあります。

一般的に、マンション売却までの流れと期間は以下のとおりです。

①価格査定半月
②媒介契約の締結
③売却活動の開始3か月
④売買契約の締結
⑤引き渡し1か月
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2020年)

スムーズに進めば約5か月で売却できますが、買主が見つからなければ売却まで半年以上かかるケースもあります。

なお、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している資料によると、成約まで88.3日かかるのが一般的です。

少しでも早く物件を売却したい場合は、築年数20年以内に売却したり適正価格で売り出したりしましょう。

③時期によっては希望売却価格を下回る場合がある

売り出す時期によっては、希望価格を下回る場合があります。

一般的に、子どもの進級やパートナーの転勤に合わせてマンションの購入を検討するケースが大半です。

したがって、3~4月に引っ越しを希望する購入者が多く、物件を探す時期としては1~2月がほとんどでしょう。

購入者が多い時期であれば、高値で売却できる可能性が高まります。

一方、購入者が少ない時期に売り出すと、買い手が見つからず希望価格以下で売却せざるを得ないリスクがあります。

あわせて、不動産売却の相場を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

不動産売却の相場の調べ方?自分でもできるオンラインツールの活用法!

マンションを賃貸に出す3つのメリット

マンションを賃貸に出す3つのメリットは、以下のとおりです。

それぞれ解説します。

①賃貸利益を得ることで経済的安定が見込める

マンションを賃貸に出して入居者が決まれば、賃貸利益を得られるため経済的安定が見込めます

賃貸利益は黙っていても手元に入るため、生活費に使ったり老後の資金として貯蓄したりできます。

毎月安定的に賃貸料が入ってくれば、経済的安定も見込めるうえに心の余裕も生まれるでしょう。

②資産として残せる

マンションを賃貸に出せば、資産を残せます

資産として残っていれば、将来的に賃貸に出したマンションへ戻ることも可能です。

また、所有物件としての価値を維持することで、まとまった資金が必要になった際は売却してもよいでしょう。

③経費を計上することで節税が可能になる

マンションを賃貸に出せば、減価償却費や修繕費などを経費として計上できます

減価償却費とは、不動産の資産価値の減少を経理上で考慮し、その費用を毎年一定額として計上できる経費の一つです。

経営にかかる費用を経費として計上することで、所得税の節税につながるでしょう。

支出を経費として計上すれば、支払う税金の額は少なくなり手元に残る賃貸利益が多くなります。

なお、賃貸利益を得る過程で使用した費用を経費として計上するためには、確定申告が必要です。

あわせて、不動産売却における確定申告の手順を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

マンションを賃貸に出す3つのデメリット

マンションを賃貸に出す3つのデメリットは、以下のとおりです。

それぞれ解説します。

①固定資産税や都市計画税の支払いが生じる

マンションを賃貸に出すと、固定資産税や都市計画税を支払う義務が生じます

項目詳細納税先
固定資産税住宅や償却資産などの固定資産にかかる税金固定資産が所在する市町村へ納税(東京都の場合は都税として納税)
都市計画税都市計画事業もしくは土地区画整理事業に要する費用にあてるための税金都市計画事業や土地区画整理事業を実施する市町村へ納税(東京都の場合は東京都へ都税として納税)
※参照:総務省 地方税制度|固定資産税   地方税制度|都市計画税 

所有者に課せられる税金の支払いから解放されたい場合は、売却を選択するとよいでしょう。

②修繕・リフォーム費用がかかる場合もある

マンションを賃貸に出す場合は、修繕・リフォーム費用がかかる場合もあります。

賃貸では、入居者が生活できる状態に設備を整える必要があるからです。

実際、賃貸に出したあとに、入居者から設備の不具合が報告されるケースも少なくありません。

築年数の古いマンションにおいては、設備の劣化により想定外のリフォーム費用が発生する場合もあるでしょう。

③地域によっては空室のリスクがある

マンションを賃貸に出す場合は、地域によって空室のリスクがあります

とくに、地方で駅から離れていたり2LDKや3LDKなど間取りが広かったりするマンションは、入居者が見つかりにくい傾向です。

ただし、地方でも駅から徒歩5分圏内かつワンルームマンションであれば、入居者が見つかりやすいでしょう。

マンションを賃貸に出す場合は、営業に積極的な地元の不動産会社と入居者斡旋・管理契約を締結するのが得策です。

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マンション売却・賃貸にかかる費用

マンション売却と賃貸にかかる費用の内訳を解説します。

売却にかかる費用

マンション売却にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。

仲介手数料・200万円以下:取引価格×5% ・400万円以下:取引価格×4%+2万円 ・400万円超:取引価格×3%+6万円
抵当権抹消費用1,000円
印紙税・取引価格が1,000万円を超え5,000万円以下:2万円 ・取引価格が5,000万円を超え1億円以下:6万円
譲渡所得税・所有期間が5年以下:譲渡所得金額の20.315% ・所有期間が5年超:譲渡所得金額の39.63%
住宅ローン一括返済にかかる手数料2万~3万3,000円(金融機関によって異なる)
場合によってかかる費用・引っ越し費用:20万~40万円(5人家族で繁忙期に引っ越す場合) ・ハウスクリーニング費用:1万5,000円~

先述したとおり、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例を利用すれば、譲渡所得税の負担を軽減できます

あわせて、マンション売却にかかる費用の捻出方法を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

賃貸にかかる費用

マンションを賃貸に出す場合にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。

仲介手数料家賃1か月分程度
管理委託料家賃の5%程度
ハウスクリーニング費用2万~5万円
固定資産税固定資産税評価額×標準税率1.4%
都市計画税固定資産税評価額×税率0.3%
所得税所得金額×税率-控除額
住民税所得割+均等割

築年数が20年を超えるマンションの場合は、修繕費やリフォーム費用も加算されます。

あわせて、マンションを賃貸に出す際にかかる税金を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

マンションは売却それとも賃貸?判断のポイントと注意すべき点

マンションを売却するか賃貸に出すかは判断に迷った際は、資産状況と目標を考慮しましょう

たとえば、資産状況が思わしくなく経済的安定を目標にする場合は、売却を選択します。

売却に強い不動産会社と契約を締結して、高値でマンションを売却することで資産状況の回復と経済的安定が実現するでしょう。

一方、十分な資産があり継続して利益を得るゴールが理想である場合は、賃貸を選びます。

ただし、賃貸では固定資産税や管理費などの支払いが発生するため、入居者がいなければ赤字になるリスクもあります。

確実に利益を得たい場合は、売却を選択するのが得策です。

まとめ

マンションを売却する場合は、地域密着型の不動産会社と契約しましょう。

地域密着型の不動産会社であれば、地元の不動産情報に強いためスムーズかつ希望価格での売却を実現できます。

株式会社クルーズカンパニー」は、都心を中心に不動産売却の実績を多く持つ不動産会社です。

都心の不動産情報に精通しているため、マンションの売却をスムーズかつ高値で実現します。

また、仲介手数料内でホームステージングを実施することも可能です。

都心で売却実績の高い不動産会社をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせはこちら!

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手不動産仲介会社に就職。
5年間勤めた後、建売会社で2年間仕入れ営業を経験した後に、クルーズカンパニーへ入社。
主に広報活動や執筆活動を担当しています。
出身地:群馬県
家族:妻 長女 長男
趣味:キャンプ カメラ 釣り

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