不動産売却の際には、適切な価格設定や買主の見つけ方などが特に重要です。
くわえて、売主の法的リスクを回避したり煩雑な手続きの円滑化を図ったりするなど、さまざまな課題に直面します。そのために、仲介手数料の必要性の理解と最小化といった要望は、売主にとって大切ではないでしょうか?
本記事では、不動産売却における仲介手数料の相場や支払い時期、妥当な金額など、売主が知っておくべき重要なポイントに焦点を当てて解説します。不動産売却に関する仲介手数料の理解を深め、最適な価格でスムーズに売却するためのアドバイスをご提供します。
不動産売却の仲介手数料とはどんな費用?
不動産売却における「仲介手数料」とは、文字通り「仲介業務に対する手数料」です。
土地や建物の売買をしたい場合、多くの方は不動産会社を通じて取引を行うでしょう。
不動産会社は不動産の売主・買主との間で仲介役として動き、売買契約に関するさまざまな手続きを行います。売主と買主は、その対価として仲介手数料を支払います。
以下は、仲介手数料に含まれる代表的な業務内容です。
- 不動産の宣伝広告
- 物件調査・案内・内覧
- 不動産の権利情報調査
- 契約書など各種必要書類の作成
- 支払い手続き
不動産売却では、必ずしも不動産会社に仲介業務を依頼しなければならない訳ではありません。
売主と買主が個人的に売買取引を行う場合、仲介業務を依頼しないため、仲介手数料はかかりません。
もし仲介手数料を節約したければ、自己取引を行う選択肢もあります。
ただし不動産売買には、価格設定や税金面での手続きなど、素人には難しい手続きが少なくありません。
法的な文書をしっかり作成できず、売主と買主の間で契約不適合責任などのトラブルに発展する可能性も高くなるでしょう。仲介業者は、不動産のプロとして売主が契約不適合責任を負わぬようアドバイスしてくれます。
そのため一般的には、仲介手数料を支払ってでもプロの不動産会社に手続きを依頼するほうが、トラブル防止や時間・手間の軽減ができるためおすすめです。
不動産売却の仲介手数料の相場は?
不動産売却における仲介手数料の相場は、おおむね「不動産売却額の3.3~5.5%」です。
仲介手数料は、仲介業者により幅があります。
これは、不動産会社がある程度自社の裁量により手数料を決められるからです。
しかし上限については、「宅地建物取引業法」によって明確に制限が設けられています。
金額については続く見出しで解説しますが、不動産会社は上限以下の手数料を設定しなければなりません。
一般的には、仲介手数料の上限額(付近)をそのまま設定されるケースが多く、結果として「不動産売却額の3.3~5.5%」前後に落ち着きます。 では上限額に関して、さらに詳しく見ていきましょう。
仲介手数料は法律で上限額が定められている
宅地建物取引業法第46条によると、仲介手数料の上限額は国土交通大臣が定めます。
2024年現在の上限額は以下のとおりです。
不動産の売却額 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の部分まで | 売却額×5.5%(5%+消費税) |
200万円超~400万円以下の部分まで | 売却額×4.4%(4%+消費税) |
400万円を超える部分以降 | 売却額×3.3%(3%+消費税) |
上限額は、不動産の売却額により3段階に分けて設定されています。
売却額により、最初に売却額に5.5%を乗じ、次に4.4%、最後に3.3%を乗じていきます。
たとえば売却額が1,200万円の場合、計算は以下のとおりです。
・200万円以下の部分 200万円×5.5%=11万円
・200万円超~400万円以下の部分 200万円×4.4%=8万8,000円
・400万円超の部分 800万円×3.3%=26万4,000円
合計 税込み46万2,000円
上限額はこのように段階的な計算で求められます。
例外として、不動産売却額が400万円以下の場合、上限が少し高くなる可能性もあります(売主のみ)。
不動産会社は、税込み19万8,000円(税別18万円)まで請求可能です。
たとえば売却額が200万円だと、本来なら仲介手数料の上限額は11万円です。
しかし仲介手数料が低すぎると、「報酬が見合わない」と不動産会社が仲介業務へ消極的になる恐れがあります。
これでは不動産売買が進みにくいため、流通促進の観点から、仲介手数料が2018年1月より引き上げられました。
参照:e-GOV法令検索「昭和二十七年法律第百七十六号宅地建物取引業法」第四十六条
仲介手数料+6万円の意味とは?
仲介手数料に関する説明を見ると、以下のような記載を見ます。
①仲介手数料=不動産の売却額の3%+6万円+消費税
②仲介手数料=不動産の売却額の4%+2万円+消費税
これは、仲介手数料の上限額を算出する「速算式」です。
①は「400万円超の仲介手数料の速算式」で、②は「200万円超~400万円以下の仲介手数料の速算式」です。
速算式を使うと、先ほどご紹介した計算方法より、速く金額を求められます。
6万円と2万円は、計算結果を合わせるための調整額です。
先ほどご紹介した計算方法では、売却額を3段階に分けて計算しました。
実際にやってみると分かりますが、この計算方法は最大3回も計算しなくてはならず面倒です。
しかし上記の速算式を用いると、以下のとおり1回の計算で上限額が分かります。
売却額が1,200万円の場合:1,200万円×3%+6万円=税別42万円(税込み46万2,000円)
②の速算式についても計算例を下に示します。
売却が300万円の場合:300万円×4%+2万円=税別14万円(税込み15万4,000円)
このように速算式を使うほうがスムーズです。
なお前述の通り、売却額が400万円以下の場合は、上限額が税込み19万8,000円へ修正される点にご注意ください。
東京都の不動産売却額から見る仲介手数料の目安
ここからは、東京都における実際の不動産売却額データを参考に、仲介手数料の目安をご紹介します。
参照するのは、レインズ(REINS:公益財団法人東日本不動産流通機構)が2023年1月23日に公表したデータです。
2022年度の中古マンションと中古戸建、および土地の成約価格をご紹介し、それぞれの仲介手数料を計算します。
計算は速算式で行いました。
不動産の種類 | 成約価格 | 予想仲介手数料 |
---|---|---|
中古マンション | 4,276万円 | 147万7,080円 |
中古戸建 | 3,753万円 | 130万4,490円 |
土地(100~200平方メートル) | 3,994万円 | 138万4,020円 |
東京都では中古マンションの成約価格が10年連続で上昇しました。
中古戸建の成約価格も上昇傾向にあります。
土地はおおむね横ばいでしたが、2022年は大きく跳ね上がりました。
いずれにしても仲介手数料は売却額に比例して大きくなるのが通常です。
不動産売却の仲介手数料はいつ払う
不動産売却の仲介手数料は通常、「売買契約を締結するタイミング」と「不動産を引き渡すタイミング」で半金ずつ支払います。
ただし、不動産会社によって支払いタイミングは変わります。
不動産を引き渡すタイミングで一括払いするケースも珍しくありません。
いずれにしても、原則的に決済時までに全額支払う必要があります。
「分割払いは基本的にない」と考えたほうがよいでしょう。
支払いに関する項目はトラブルの元になりやすいため、必ず事前に不動産会社へ確認しておくようおすすめします。
「手数料無料」など安すぎる仲介業者には用心
仲介業務を行う不動産会社の中には、「仲介手数料無料」や「仲介手数料半額」と宣伝するところがあります。
本来高額な仲介手数料が無料になると聞けば、思わず飛びつきたくなりますが、注意が必要です。
仲介業務にはさまざまな手続き・作業が含まれます。
不動産会社の働きを考えると、何の理由もなく無料ですべてを行ってくれるとは考えにくいです。
不動産会社が手数料を無料・半額にできる理由は、両手取引(同じ不動産会社が売主・買主両方と取引すること)です。
※売主と買主それぞれに不動産会社がつく取引は「片手取引」と呼ばれる。
両手取引の場合、不動産会社は売主と買主の両方から手数料をもらえます。
買主側から手数料を受け取れば報酬が発生するため、売主側にサービスを無料で提供しても大きな問題にはなりません。
ではなぜ、売主側に無料・半額サービスを提供するかですが、以下のような意図が考えられます。
・買主に安さをアピールして売却できる不動産を増やしたい
・売主に値引き交渉して買主の購入を促し、早期に成約へ繋げたい
もし後者が不動産会社の意図であれば、売主にとって好条件の売却はできないかもしれません。
手数料はかからなくても、不動産の売却額を引き下げられれば、最終的に損する恐れがあります。
無料・半額などの売り文句にすぐ飛びつかず、なぜ安いのかを調べるようおすすめします。
もし相場よりも安く思えたとしても、キャンペーンや独自の企業努力で安いのであれば、お得に依頼できるかもしれません。 不動産会社の実績や評判を調べたうえで、総合的な判断をする必要があります。
通常以外の業務には別途実費がかかる
仲介手数料に関する注意点として、通常以外の業務を不動産会社に行ってもらった場合には、その実費がかかります。
以下は、仲介手数料に含まれる通常業務の例です。
・Webサイトでの宣伝広告
・内覧の案内
・売主と買主との条件交渉
・契約書の作成
・不動産引き渡しのサポート
一方、以下のような業務は仲介手数料に含まれていない可能性があります。
含まれていなければ、別途実費が発生するかもしれません。
・遠方地にいる買主候補と売買交渉を行ってもらう
・通常使われない広告メディアで不動産を宣伝する
・空き家メンテナンスなど物件の管理をしてもらう
依頼時に、手数料に含まれる業務と含まれない業務を確認しておくようおすすめします。
仲介手数料を安くする合理的な方法
仲介手数料を節約する方法は、売主・買主共にいろいろとあります。
たとえば値引き交渉を行えば、上限額よりも低い手数料にしてもらえる可能性があります。
といっても、単に「安くしてください」と強引に不動産会社に迫るのはNGです。
不動産会社としては報酬が少なくなるため、首を縦に振ってはくれないでしょう。また、売主の抵抗も考えられます。仮に了承するとしても、物件の管理に手抜きがでたり、交渉そのものを後回しにされたりする恐れがあります。
一方、不動産会社に全部依頼する代わりに自分たちでできる作業を行い、それを材料に仲介手数料の値引きを交渉するのは有効です。
売主と買主それぞれが自分で対応できる策をご紹介します。
売主が自分で対応できること
売主は以下のような作業に自身で対応できます。
・不動産の案内用写真の撮影
・内覧者用の仕様作成
・内覧時の案内
・クリーニング
・気になる不具合や傷や汚れの修繕
・不用品の処分
・売却に使う書類の準備(登記簿謄本や固定資産税評価額証明書など)
このような作業を自分で行うなら、不動産会社の実務負担が減るため、値引き交渉を首尾よく進められる可能性が高まります。
買主が自分で対応できること
買主は以下のような作業に自身で対応できます。
・現地販売会などで不動産を内覧しておく
・自分で周辺地域の情報をリサーチする
・不動産売買情報を載せたサイトで候補を探す
・住宅ローンを組むなら金融機関の選定や審査を済ませる
買主が自発的にこれらの作業を行うなら、不動産会社としては助かります。
事前に不動産会社と相談して、どのような作業が仲介手数料に含まれるか確認し、自分でもできる業務がないか探してみるよう、おすすめします。
不動産売却は豊富なネットワークを持つ不動産会社へ!
不動産売却で成功する一つのキーポイントは、豊富なネットワークを持つ不動産会社に仲介業務を依頼することです。
販売網が広い不動産会社なら、より多くの買主候補にアプローチ可能です。
候補が多ければ、それだけ売主にとって好条件の相手が見つかりやすくなります。
より高く・より早く大切な不動産を売りたい方は、「株式会社クルーズカンパニー」の不動産取引サイト「TRENT(トレント)」をご活用ください。
弊社は、東京都心の高級マンションと高級住宅の賃貸・売買・管理、賃貸オフィスと事業用不動産の仲介のプロ集団です。
TRENT(トレント)は、お客様の不動産情報を、「REINS」と呼ばれる不動産ネットワークに登録いたします。
「REINS」は、72,000以上の不動産関連事業所が情報共有できるシステムです。
膨大な不動産情報をベースに買主候補を探せるため、売主様のご希望を最大限に考慮したマッチングが実現します。
さらに、大手不動産ポータルサイトやDM・店舗客など複数の広告媒体や集客方法を活用。
顕在・潜在顧客へあますところなくアプローチすることで、効率的な取引相手を見つけられます。
まとめ
不動産売却にかかる仲介手数料の相場は、おおむね税込み「売買額の3.3~5.5%」です。
3.3~5.5%は、仲介手数料の上限額を計算する係数です。
上限額をそのまま仲介手数料とする不動産会社は多いため、相場をイメージするときはこの値を覚えておくと役立ちます。
細かいことをいえば、速算式だと税別6万円ないし2万円を上乗せしますが、大体の金額を計算するには上記の値でも十分でしょう。
上限額以下であれば、仲介手数料の設定は不動産会社の裁量に任せられています。
そのため他より安い手数料を提示する不動産会社もあります。
「できれば最安で依頼したい」と思うのは自然ですが、「手数料無料」「手数料半額」など、極端に安い手数料が提示されている場合は要注意です。
売買額を大きく下げられてしまう恐れもあるため、条件をよく確認するようおすすめします。
ご紹介した手数料の節約方法も参考に、不動産売却のお手続きを進めてください。
その際は、豊富な不動産ネットワークを持つTRENT(トレント)をぜひご活用ください。
お問い合わせはコチラ