不動産売却に伴う費用を捻出するつなぎ融資の活用術!利用時の注意点も解説

マンションの住み替えや買い替えには、住宅ローンを契約するケースが大半です。

住宅ローンは、マンションの引き渡し時に融資が実行されます。そのため、住宅ローンの融資が実行されるまでに発生する費用の捻出に頭を抱えている方も少なくないのが現状です。

不動産売却の代金をマンションの住み替えや買い替え費用にあてるつもりでも、希望どおりの期間に売却できるとは限らないからです。 そこで本記事では、住宅ローンの融資が実行されるまでの費用を捻出できる、「つなぎ融資」の活用術を詳しく解説します。くわえて利用時の注意点もご紹介、不動産売却が思うように進まず、資金繰りにお悩みの方へ朗報です。

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目次

不動産売却の費用捻出に活用するつなぎ融資とは

つなぎ融資とは「住宅ローンが実行されるまでに発生する費用の支払いをつなぐ借入金」のことです。 以下に「つなぎ融資」の概要をまとめました。

利用条件住宅ローンの実行
融資期間1か月から1年前後(※金融機関によって異なる)
金利2~4%(※金融機関によって異なる)

マンションの住み替えを検討している方の中には、不動産売却がスムーズに進まず資金繰りに悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

住宅ローンを組めば、マンションは購入できます。しかし、住宅ローンが実行されるのは物件の引き渡し時です。

マンションの購入時に発生する頭金・印紙税・仲介手数料などの費用は、住宅ローンが実行される前に支払わなければなりません。

居住する不動産売却が予定どおりに進まない場合、まとまった費用を捻出できずマンションの購入を諦めなければならないケースもあるでしょう。 そんな時につなぎ融資を活用します。つなぎ融資を活用すれば、住宅ローンが実行されるまでに発生する費用を捻出できます。

つなぎ融資と不動産担保ローンの違い

つなぎ融資と不動産担保ローンの違いは、以下のとおりです。

項目つなぎ融資不動産担保ローン
目的住宅ローンの融資が開始されるまでに発生する費用をつなぐ一時的な借入不動産を担保に資金を長期的に借入する
金利2~4%1~9%
利用条件住宅ローンの実行抵当権の設定
融資期間1か月から1年前後1か月から最長30年もしくは35年
返済方法住宅ローンの融資による一括返済元利均等返済もしくは元金均等返済

つなぎ融資と不動産担保ローンの決定的な違いは、担保の有無です。

つなぎ融資は住宅ローンの契約が必須であるため無担保で借入可能ですが、不動産担保ローンは不動産を担保に資金を借入します。

そのため、不動産担保ローンにおいては、抵当権の設定が必須です。

なお、抵当権とは債権者が借金などの債務を担保するために不動産に対して設定する権利のことを指します。

※参照:e-GOVポータル 民法第三百六十九条

不動産売却でつなぎ融資を活用する3つのケース

不動産売却でつなぎ融資を活用するのは、以下3つのケースです。

①不動産を売却して買い替えをするケース

②引き渡し時に住宅ローンが間に合わないケース

③相続税の納税資金とするケース それぞれ解説します。

①不動産を売却して買い替えするケース

不動産を売却してマンションを買い替えるケースにおいて、つなぎ融資を利用します。

マンションの買い替えには、売り先行と買い先行があり不動産売却のタイミングに違いがあります。

売り先行不動産の売却後にマンションを買い替える
買い先行不動産の売却前にマンションを買い替える

買い先行でマンションを買い替える場合は、不動産売却代金の入金前に新たに借りる住宅ローンの諸費用や頭金・手付金・仲介手数料・不動産取得税などの費用が必要です。 そのため、つなぎ融資を利用して、マンションの買い替えに伴う費用を捻出します。

②引き渡し時に住宅ローンが間に合わないケース

つなぎ融資を利用する場面として、マンションの引き渡し時に住宅ローンの実行が間に合わないケースも挙げられます。

住宅ローンの申し込みが遅れたり審査に時間を要したりした場合、マンションの引き渡し時までに住宅ローンの実行が間に合わないケースもあります。 引き渡し時に住宅ローンの融資が間に合わないケースにおいても、つなぎ融資を利用すればまとまった費用を捻出できます。

③相続税の納税資金とするケース

相続税の納税資金として、つなぎ融資を利用するケースもあります。

たとえば、マンションを相続した場合、葬祭費・借入金・未払金などを差し引いた相続税評価額が基礎控除額を上回るケースでは、相続税の納税が必要です。

とくに、都心部においてはマンションの相続税評価額が高額になりがちなため、想定外の相続税が課税される場合もあります。

なお、相続税の納税期限は、被相続人の死亡を把握した日から10か月以内です。

そこで、つなぎ融資を利用して相続税を納税します。その後、不動産売却の代金でつなぎ融資を返済します。

あわせて、マンション相続における相続税の計算方法や資金繰りについて把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。

不動産売却に伴う費用を捻出できる!つなぎ融資を活用する3つのメリット

つなぎ融資を活用するメリットは以下のとおりです。

①欲しい物件をすぐに購入しやすい

②不動産売却を急がずに済む

③仮住まいの費用がかからない

それぞれ解説します。

①欲しい物件をすぐに購入しやすい

つなぎ融資を活用するメリットとして、欲しい物件をすぐに購入しやすい点が挙げられます。

マンションの住み替えの際に気に入った物件を見つけても、自宅の売却を待っていては他の人に購入されてしまうリスクが高まります。

とくに、中古住宅の市場では、好条件の物件はすぐに購入者が見つかるため、欲しい物件を逃してしまうケースも少なくありません。 つなぎ融資を利用すれば、気に入った物件が見つかり次第、購入できるでしょう。

②不動産売却を急がずに済む

不動産売却を急がずに済むのも、つなぎ融資を活用するメリットです。

急いで不動産を売却する場合、引き渡し時期や支払い条件などの売却条件を調整できない場合があります。

そのため、売主にとって不利な条件で取引を進めなければならないリスクがあります。

また、資金繰りの悩みを抱いている場合、心理的なプレッシャーも伴うでしょう。 つなぎ融資を利用すれば、不動産売却を急がずに済むうえに心理的プレッシャーからも解放されます。

③仮住まいの費用がかからない

つなぎ融資を活用するメリットとして、仮住まいの費用がかからないことも挙げられます。

売り先行による住み替えの場合、売却後すぐに新居への引っ越しは難しく一時的に仮住まいへ移らなくてはなりません。

仮住まいへの引っ越しには「敷金・礼金、引っ越し費用、新たな家具や家電の購入」など、多額の費用が発生します。 つなぎ融資を利用し買い先行ならば、納得いくまで購入物件を選べて仮住まいの費用がかかりません。

不動産売却に伴う費用を捻出できる!つなぎ融資を利用する際の注意点

つなぎ融資を利用する際の注意点は、以下の6つです。

①住宅ローンとセットで利用する必要がある

②住宅ローンより金利が高めに設定されている

③つなぎ融資を取り扱っていない金融機関がある

④借入金額や融資回数に制限が設けられている

⑤利用期間を延長すると利息が増える

⑥住宅ローン控除は利用できない

それぞれ解説します。

住宅ローンとあわせて利用する必要がある

つなぎ融資は、住宅ローンとあわせて利用する必要があります。

つなぎ融資はマンションの住み替えや買い替えにおいて、住宅ローンの融資が開始されるまでの支払いをつなぐローン商品です。そのため、つなぎ融資の利用には、住宅ローンの申し込みが必須となります。

したがって、住宅ローンとつなぎ融資の条件を両方把握したうえで、最適な金融機関を選ぶ必要があります。

買い先行の場合は旧居の住宅ローンを完済している、または完済できる資金があるならば問題なく行えますが、住宅ローンの完済が難しい場合は二重ローンに注意が必要です。

住宅ローンより金利が高めに設定されている

つなぎ融資は、住宅ローンより金利が高めに設定されています。

現状、つなぎ融資の金利は2~4%に設定されているケースが大半です。

また、借入であるため利息も発生します。

つなぎ融資の利息は、融資額×金利×借入日数÷365日で計算します。

たとえば、マンションの住み替え時にかかる費用2,000万円を3%で90日間、つなぎ融資で借入した場合にかかる利息は14万7,945円です。

2,000万円×3%×90日÷365日=14万7,945円(※金利3%で計算した場合)

よって、元金に利息が加算され、つなぎ融資の総返済額は2,014万7,945円になります。

一方、住宅ローンの金利は0.2~1.3%前後であるケースが多いため、同様の条件下において発生する利息は9,863~6万4,110円前後でつなぎ融資の半分以下です。 つなぎ融資を利用する際は、金利が高めに設定されている点に注意しましょう。

つなぎ融資を取り扱っていない金融機関がある

つなぎ融資を取り扱っていない金融機関もあります

大半の金融機関は住宅ローンに対応していますが、つなぎ融資に関しては取り扱いが少ない状態です。

以下に、住宅ローンとつなぎ融資を取り扱っている金融機関、3件をピックアップしました。

住宅ローンとつなぎ融資の両方を取り扱っている金融機関
・みずほ銀行 ・楽天銀行 ・イオン銀行

上記は一例ですが、住宅ローンのみを提供している金融機関が大半です。

そのため、住宅ローンを契約したい金融機関でつなぎ融資の提供があるか確認しましょう。

万が一、つなぎ融資の取り扱いがなければ、違う金融機関を探してください。

借入金額や融資回数に制限が設けられている

つなぎ融資は、借入金額や融資回数に制限が設けられています。

たとえば、借入金額はマンション購入額と同じ金額まで、住宅ローンの借入額の40%までと定められているケースがあります。

また、融資回数に関しても3~4回までと規定されている場合が大半です。 借入金額や融資回数は金融機関によって異なるため、事前にチェックしたうえで希望に合うつなぎ融資を契約しましょう。

利用期間を延長すると利息が増える

つなぎ融資は、利用期間を延長すると利息が増えます

つなぎ融資の利用期間は、住宅ローンの融資が実行されるまでです。

しかし、住宅ローンの申請書類に不備があったり、住み替え予定のマンションに安全性の問題が発覚したりした場合は、住宅ローンの融資実行が遅れます。

住宅ローンの融資実行が遅くなれば、つなぎ融資の利用も延長せざるを得ないでしょう。

つなぎ融資の利用期間を延長した場合は、利息も増えるため注意が必要です。 万が一の事態を想定して、ある程度の自己資金を蓄えておくとよいでしょう。

住宅ローン控除は利用できない

つなぎ融資は、住宅ローン控除の利用ができません。

住宅ローン控除を受ける要件として「住宅取得後6か月以内に入居し引き続き居住していること」と、定められているからです。

つなぎ融資はマンション引き渡し前に融資を受け、借入期間も短いため、住宅ローン控除の要件を満たせません。

そのため、つなぎ融資は住宅ローン控除の適用外となります。

「もったいない?」つなぎ融資以外で不動産売却に伴う費用を捻出する方法

つなぎ融資以外で、不動産売却に伴う費用を捻出する方法は以下のとおりです。

①親族から資金援助を受ける

②身の丈に合った物件に住み替える それぞれ解説します。

親族から資金援助を受ける

つなぎ融資以外で不動産売却に伴う費用を捻出するためには、親族から資金援助を受けるのが有効です。

親族から資金援助を受ければ、利息や金利は発生しません。

ただし、親族から資金援助を受けるケースでは、一定の書類を贈与税の申告書に添付して税務署へ提出する必要があるため、国税庁が公表している資料に目をとおしておきましょう。

※国税庁:財産をもらったとき 住宅取得の際の贈与税の特例

身の丈に合った物件に住み替える

身の丈に合った物件に住み替えるのも、つなぎ融資以外で不動産売却に伴う費用を捻出する方法です。

たとえば、マンション購入時は夢が膨らみ、あれこれと高望みしてしまいがちです。

身の丈に合わない物件を購入すると資金繰りが難しくなるため、つなぎ融資を利用する必要があるでしょう。

つなぎ融資以外で資金繰りをするのであれば、購入費や諸費用を不動産売却代金で賄える物件を選び、売り先行で実行します。

不動産売却代金で購入できる物件を選択すれば、住宅ローンの利用だけで済むはずです。

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まとめ

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでに発生する費用の支払いをつなぐための借入金のことです。

つなぎ融資を利用すれば、不動産売却代金の入金を待たずにまとまった融資を受けられます。

マンションの住み替えや買い替えを検討している方の中には、売却が思うように進まずマイホームを断念してしまう方もいらっしゃるでしょう。

資金繰りにお悩みの方は、つなぎ融資の活用を検討してみてください。

また、不動産売却を円滑に進めたい方は、営業活動に積極的な不動産会社を選ぶのもおすすめです。

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そのため、より高くより早く不動産を売却できます。

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手不動産仲介会社に就職。
5年間勤めた後、建売会社で2年間仕入れ営業を経験した後に、クルーズカンパニーへ入社。
主に広報活動や執筆活動を担当しています。
出身地:群馬県
家族:妻 長女 長男
趣味:キャンプ カメラ 釣り

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