23区を中心として、東京のマンションは新築・中古ともに販売価格の高騰が続いていました。
しかし、最近その動きに変化が見られたというニュースを見かけます。
その内容から「東京のマンション価格は下落するのではないか」と不安を感じているオーナーさまも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、東京のマンション価格が下落すると言われている理由について解説します。
また、価格が下落する前に売却するためのポイントや、普段からできる備えもご紹介しますので、マンションの売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
【2024年】東京のマンション価格の推移をご紹介
まずは、これまでの東京のマンション価格がどのように推移してきたのかを確認していきましょう。
ここでは、新築・中古に分けてこれまでの価格推移をご紹介します。
新築マンションの価格推移
株式会社不動産経済研究所が発表する「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023年度(2023年4月~2024年3月)」をもとに、新築マンションの価格推移をまとめた結果は以下のとおりです。
◇地区別価格動向(平均価格)
(単位:万円)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
東京23区 | 7,008 | 7,320 | 7,400 | 7,564 | 8,449 | 9,899 | 10,464 |
東京都下 | 5,072 | 5,304 | 5,460 | 5,414 | 5,137 | 5,218 | 5,358 |
東京都下に関しては2020年〜2021年にかけて多少下落しているものの、2017年からの推移で見ると全体的には上昇傾向にあることがわかります。
中古マンションの価格推移
株式会社東京カンテイが発表した資料をもとに、中古マンションの価格推移をまとめた結果は以下のとおりです。
◇70㎡あたりの中古マンション価格
(単位:万円)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
東京都 | 4,825 | 4,884 | 5,003 | 5,167 | 5,739 | 6,301 | 6,423 |
東京23区 | 5,319 | 5,385 | 5,566 | 5,766 | 6,333 | 6,842 | 7,055 |
中古マンションも新築マンションと同様、2017年~2023年に至るまで上昇傾向であることがわかります。 これらのデータからわかるように、東京のマンション価格は新築・中古問わず、2023年まで高騰を続けてきたのです
今後東京のマンション価格が下落すると言われる理由
これまで高騰してきたマンション価格が、なぜ今後は下落すると言われているのでしょうか。
その主な理由は以下の2点です。
・新築マンションの平均販売価格の下落が発表された
・日銀が金利の利上げを発表した
ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。
理由1.新築マンションの平均販売価格の下落が発表された
一つ目の理由は、株式会社不動産経済研究所が発表する「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年上半期(1~6月)」において、首都圏・東京23区の新築マンションの平均販売価格が前年同月比で下落したと発表されたことです。
※()内は前年同月比、△はマイナス
平均価格 | ㎡単価 | |
首都圏 | 7,677万円(△13.5%) | 115.7万円(△12.4%) |
東京23区 | 10,855万円(△16.3%) | 172.6万円(△10.3%) |
これにより、SNS上では「不動産バブルの崩壊」「売り急がないと」といった意見が散見されるようになり、東京のマンション価格が下落すると言われるようになったのです。
理由2.日銀が金利の利上げを発表した
2024年に日銀が金利の利上げを発表したことも、東京のマンション価格が下落すると言われる理由の一つです。
ちなみに、2024年に日銀が発表した政策金利の利上げは、以下の2回です。
・3月:マイナス金利→0〜0.1%
・7月:0.25%程度に引き上げ
一般的に、金利が上昇すると不動産価格は下落すると言われています。
その理由は以下のとおりです。
金利が上がる
→住宅ローンの総返済負担が増える
→購入希望者が減る
→価格を下げざるを得なくなる
上記のような傾向があるため、住宅市場が冷え込み、マンションの価格が下落すると言われるようになったのです。
実際には今後のマンション価格は上がるとも下がるとも言い切れない
ただし、上記のように言われているからといって、必ずしもマンション価格が下がるとは言い切れません。
なぜなら、今後のマンション価格は過去の経験則からある程度動きが予測できる部分もありますが、実際には今後何が起こるか誰にもわからないからです。
例えば、新型コロナウィルスやリーマンショックは不動産価格に大きな影響を及ぼしましたが、こういった要素はいつ起こるか予測ができません。
つまり「平均販売価格の下落」や「利上げ」は一つの参考情報ではありますが、それだけでは「マンション価格が下落する」とは言い切れないのです。
そのため、最終的には自分で考えて判断する必要がある点は頭に入れておきましょう。
東京のマンション価格が下落する前に高値で売却するためのポイント
東京のマンション価格が下落すると言われている今、所有する物件を売却するべきかお悩みの方も多いはずです。
ここからは、東京のマンション価格が下落する前に高値で売却するためのポイントを4つご紹介します。
ポイント①:上昇相場の間に売却する
冒頭でご紹介したように、これまで東京のマンション価格は上昇を続けています。
◇マンション価格高騰の背景
・住宅ローン金利が低水準
・円安や紛争による建築資材の価格や人件費の高騰
・土地価格上昇による新築マンション供給の減少
この高騰により新築マンションは高収入の世帯でないと購入が難しくなったことから、一般的な世帯年収の家庭は中古マンションを購入していることも多く、需要が高まっています。
今後どのタイミングでこの上昇相場が終わるかは予測できないため、「需要があるうちに売却する」という選択肢は持っておいた方がよいでしょう。
ポイント②:人口が減少局面に入る前に売却する
マンション価格には、人口の増減も影響すると言われています。
なぜなら、不動産の需要は基本的に人口と比例するからです。
東京都の人口はこれまでずっと増加傾向であり、それにともない不動産価格も上昇してきましたが、東京都政策企画局の資料によると2025年にピークを迎え、その後は減少に転じると予測されています。
◇2060年までの東京都の将来推計人口
(単位:万人)
2020年 | 2025年 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 | 2050年 | 2055年 | 2060年 | |
人口 | 1,385 | 1,398 | 1,394 | 1,375 | 1,346 | 1,312 | 1,274 | 1,227 | 1,173 |
人口が減少すると不動産の需要も減るため、減少に転じる前に売却すると、価格の下落を避けられる可能性があるでしょう。
ポイント③:政策金利上昇が本格化する前に売却する
日銀は、2024年7月に政策金利を0.25%程度に引き上げることを発表しています。
これにともない、わずかではありますが住宅ローンの金利を引き上げる金融機関も出てきており、不動産の需要が減退し、価格が低下すると予測されています。
なお、日銀は「緩和的な金融環境は維持」するとしているものの、ここから先の「データ次第で一段の調整があり得る」と会見で発言。
社会や不動産価格を混乱させるほど一気に金利操作することは考えにくいですが、今後政策金利上昇が本格化し、マンション価格が下落する可能性を考慮して、今のうちに売却するという選択肢もあるでしょう。
ポイント④:消費税増税前に売却する
不動産価格には、消費税の増税も影響します。
その理由は以下のとおりです。
消費税が増税される
→物件価格が上昇する
→購入希望者の購入意欲が低下する
→マンション価格が下げざるを得なくなる可能性
反対に、消費税増税前には「駆け込み需要」が増加する傾向があるため、増税の発表があった場合には遅くともこのタイミングで売却するのがおすすめです。
東京のマンション価格の下落を考慮せずすぐに売却した方がよいケース
東京のマンション価格の下落を考慮せず、すぐに売却した方がよいのは以下の2ケースです。
・マンションを相続した
・近くに新しいマンションができた
それぞれの理由について詳しく解説します。
ケース①:マンションを相続した
親の所有していたマンションを相続し、住む予定がない場合はタイミングを迷わずすぐに売却することをおすすめします。
その理由は、相続するマンションは築年数を重ねているケースが多く、管理費や修繕積立金・固定資産税などの負担が大きくなるためです。
利用せずとも所有しているだけでお金がかかってしまうため、さまざまな手段を検討しつつ、早めに手放すとよいでしょう。
ケース②:近くに新しいマンションができる
所有する物件の近くに新しいマンションが建設される場合も、早めに売却準備を進めた方がよいかもしれません。
なぜなら、同じような価格帯であればどうしても新しいマンションの方がニーズがあり、自分が所有する物件が売れ残ってしまう可能性があるからです。
その結果、希望していた売却価格よりも低い価格で売り出さざるを得なくなる可能性も考えられます。
売却活動中に新しいマンションが建つという話を聞いたり、チラシ・看板を見かけたりした場合は要注意。 ニーズが低くなってしまう前に、できるだけ早く売却準備を始めましょう。
東京のマンション価格の下落に備えて普段からできること
マンションの売却タイミングを知っていても、それを逃してしまうと意味がありません。 ここからは、東京のマンション価格の下落に備えて普段からできることを3つご紹介します。
備え①:売却には時間がかかることを理解しておく
マンションは売り出したからといって、すぐに売却が決まるわけではありません。
公益財団法人東日本不動産流通機構の資料によると、首都圏のマンションの売却には登録から平均で2〜3ヶ月ほどかかります。
年 | 登録から成約に至る日数(中古マンション) |
2021 | 74.7 |
2022 | 71.4 |
2023 | 80.1 |
価格の下落を察知しても動き出しが遅いとタイミングが遅れてしまうため、余裕を持ったスケジュールで動けるように準備しましょう。
備え②:経済・不動産市場の動向をチェックしておく
マンションの売却を検討しているときは、経済・不動産市場の動向をチェックしておきましょう。
なぜなら、マンションの価格は、経済動向・不動産市場の影響を大きく受けるからです。
経済動向は、ニュースや新聞などで以下の内容をチェックしておきましょう。
・金利
・消費税
・物価
・地価 など 不動産市場の動向をチェックするなら、レインズデータライブラリーがおすすめです。
定期的に首都圏の不動産市場のレポートを発行しているため、過去のデータを調べるのに役立つでしょう。
備え③:信頼できる不動産業者を探しておく
自分でマンションの売りどきを見極める力をつけるのも重要ですが、迷ったときに相談できる不動産業者を探しておくとより安心です。
とくに、経験豊富な担当者であれば知識が豊富なのはもちろん、その地域ならではの情報や細かいノウハウを活かした売却相談が期待できるでしょう。
もちろん、最終的な判断はご自身になりますが、その道のプロのサポートを受けることで、大きな失敗を避けられる可能性を高められるでしょう。
◆マンション売却をどこに相談すればよいかお悩みの方はこちらの記事をご覧ください。
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なお、相続や近隣にマンションが建つ場合など、早急に売却を進めたい方は、買取を検討しましょう。
クルーズカンパニーでは買取はもちろん、一定期間の売却活動後に買取を行う「買取保証サービス」も提供しているため、売れ残りを心配することなく売却活動を実施できます。
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東京のマンション売却に関するよくある質問
最後に、東京のマンション売却に関するよくある質問にQ&A方式で答えていきます。
よくある質問をチェックし、売却についての疑問を減らしておきましょう。
マンションを売るタイミングで考慮すべき点はありますか?
マンションを売るタイミングで考慮すべき点はいくつかありますが、代表的なのは以下の3点です。
・築年数:築年数が経過するほど価値が下がる
・シーズン:2月・3月が需要期
・周辺環境の変化:交通インフラの拡充・新施設の建設など生活にプラスの変化があると価値が上がる。また、早く高く売れることだけを考えるのではなく、子どもの入学・転職などご自身のライフイベントを軸に売却活動を進めるという方法もあります。
マンションは築何年から安くなる?
築何年から安くなるという具体的なデータはありませんが、公益財団法人東日本不動産流通機構が発表する資料によると、築10年で新築の約70%〜80%、築20年で約30%〜50%程度まで下がっています。
◇中古マンション成約時の価格・㎡単価
(単位:万円)
価格 | ㎡単価 | |
築0〜5年 | 5,883 | 88.16 |
築6〜10年 | 5,071 | 75.28 |
築11〜15年 | 4,484 | 62.86 |
築16〜20年 | 4,174 | 57.46 |
築21〜25年 | 3,202 | 46.93 |
築26〜30年 | 1,884 | 31.09 |
築31〜 | 1,904 | 33.33 |
基本的には築年数が経つほど価格は下がるため、できるだけ高く売りたいとお考えであれば、早めに売却するのがよいといえるでしょう。
マンションが売れない場合はどうすればよいですか?
マンションを売りに出したものの、なかなか売れない場合は、以下の対処法を取ることをおすすめします。
・販売価格を見直す
・アピールの仕方を見直す
・ハウスクリーニングや修繕を実施する
・マンション売却に強い不動産業者に依頼する
・不動産買取サービスを利用する など
ただし、マンションが売れない場合、理由は一つではなく複合的であるのが一般的。
どのような手段をどのような順番で打つかは、プロである不動産会社に任せるのが無難です。
◆マンションが売れない原因と対策を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
新築マンションの平均販売価格の下落・日銀による利上げなどから、東京のマンション価格が下落するのではないかという声が挙がっています。
しかし、実際のところマンション価格はもっと複合的な要素で決まるため「こうなったから確実にマンション価格が下落する」とは言い切れないのが実情です。
そのため、売主としては経済・不動産市場の動向をチェックしたり、相談できる不動産業者を探したりなど、日頃からの備えをしたうえで「どのような状況になったら売る」と決めておくことが一番重要になります。
もし、東京のマンションの売却タイミングに不安や迷いが生じている場合は、クルーズカンパニーに一度ご相談ください。
東京で10年以上マンションの仲介売買に携わってきた経験・知識を活かし、適切なタイミングで売却できるようサポートいたします。