「住宅ローンが残っていると不動産売却はできない」と思う人がいるかもしれませんが、可能です。
売却の流れをおさえて事前によく準備すれば、スムーズに資金計画が進むでしょう。
本記事では、ローンが残っている不動産の売却をする流れについて解説します。
また残債が売却額を下回る場合(アンダーローン)と上回る場合(オーバーローン)との売却方法をご紹介します。
さらに不動産を高く売る3つのポイントや、税制面で適用できるかもしれない特例・控除もご紹介。 現在ローン支払い中で売却を検討している人は参考にしてください。
住宅ローンが残っている場合も不動産売却は可能
住宅ローンが残っていても、不動産は売却できます。
ローンがある状態での売却は、主に以下2つのパターンが考えられます。
・ローン残債が売却額より低い状態(「アンダーローン」)での売却
・ローン残債が売却額より多い状態(「オーバーローン」)での売却
これら2つのパターンでは、売却手続きの流れが多少異なります。
ローンが残っている不動産売却の手順をステップ解説
ローンが残っている不動産売却の方法を、6つのステップで解説します。
どちらの場合でも、まずは専門家である不動産会社に相談し、状況に合わせた最適な方法で売却を進めることが重要です。
ステップ1.ローン残債と不動産の価値をチェックする
最初に、住宅ローンがいくら残っているか把握し、同時に不動産の価値を査定します。
住宅ローン残債の確認は以下の方法で可能です。
・金融機関からの残高証明書を見る
・返済予定表を見る
・インターネットバンキングで残高を照会する
自分ではよく分からない場合、金融機関に直接問い合わせられます。
次に不動産の価値を計算する方法ですが、以下の方法があります。
・自分で不動産価格情報を調べる(国交省の「不動産情報ライブラリ」や「REINS Market Information」など)
・不動産会社に査定を依頼する
自分で調べる場合は、あくまで周辺の不動産と比較した場合のおおまかなシミュレーションしかできません。
より具体的な価値を知るには、不動産会社に来てもらって査定を受ける方が正確です。 残債と査定価格が分かると、アンダーローンなのかオーバーローンなのかが大方判断できます。
ステップ2.不動産会社に相談する
残債と査定価格が分かったら、査定を依頼した不動産会社と相談しましょう。
以下のような情報を共有できるかもしれません。
・査定価格の理由
・売り出し価格のイメージ
・売却までの予想期間
・売却に必要な準備(書類や引越しのタイミングなど)
・予想される仲介手数料やその他必要経費
・売却益が出た場合の税金対策
ほかにも気になる点があれば都度尋ねるとよいでしょう。
話し合いで納得できる場合は、媒介契約を結びます。
ステップ3.売却方法を決定する
アンダーローンとオーバーローンそれぞれに応じて、売却の進め方を決めていきます。
・アンダーローンの場合(ローン残債<売却額)
不動産を売却したお金でそのまま住宅ローンを返済できます。
・オーバーローンの場合(ローン残債>売却額)
オーバーローンの場合は、売却額だけでは残債をカバーできないため、自己資金などをあわせて返済します。
貯蓄などを回して工面できるのであれば、アンダーローン同様問題なく完済できるためシンプルでしょう。
しかし工面できない場合、金融機関は売却を認めてくれないため、通常売却はできません。
この場合は金融機関に連絡し、「任意売却」することが主な選択肢となります。
任意売却とは「金融機関からの同意を得て売却する方法」です。
任意売却やそれ以外の方法について詳しくは後述します。
ここでは便宜上、オーバーローン時には任意売却をするものと仮定して説明を続けます。
ステップ4.売却活動をする
売却方法が定まったら、売却活動を始めます。
・アンダーローンの場合
通常売却と同様、不動産会社に仲介してもらいながら買い手を探し、価格交渉や契約条件の調整を行います。
売れにくい場合は不動産会社に買取を依頼することもできますが、一般的に仲介での売却より安い価格になるため、一転してオーバーローンにならないよう注意が必要です。
・オーバーローンの場合
金融機関と相談しつつ、できるだけ高く売却できるルートを探します。
また残債の一部免除や返済方法の変更などを交渉できるかもしれません。
ステップ5.売買契約と返済手続きをする
不動産の買主が見つかり交渉がまとまったら、不動産売買契約を交わして決済し、返済手続きもします。
・アンダーローンの場合
買主と契約手続きを行い、売却額を決済し、そのお金でローン残債を完済します。
金融機関への連絡については、決済日の1~2週間前に「ローンを一括繰り上げ返済する旨」を伝えておくとよいでしょう。
時間に少し余裕をもって伝えておくことで、返済手続きや抵当権の抹消登記がスムーズにいくと期待できます。
・オーバーローンの場合
任意売却の売却額だけでは残債が残る場合、残る金額の返済計画を立てます。
生活状況に応じて「分割払い」で残債を返すなど、金融機関との合意に基づいて行います。
ステップ6.物件を引き渡す
最後に、不動産の引き渡しです。
引き渡し前にローン完済と抵当権の抹消登記をすませておきます。
任意売却の場合は、引き続き金融機関の合意に基づいて手続きを進めます。
ローンの残債が不動産の売却額以上に残っている場合(オーバーローン)の対策
オーバーローンは不動産売却額のみで完済できないため、アンダーローンよりも話が複雑になることがあります。
オーバーローン時の注意点や売却方法の基本について解説します。
オーバーローン不動産売却の注意点
まず、オーバーローンの不動産売却をする際の注意点を解説します。
あらかじめ注意点を知っておくと、少しでも手続きをスムーズに進めやすくなります。
手続きが煩雑になりやすい
オーバーローンになっても、自己資金が十分あればローンを完済できるため大きな問題はありません。
しかし自己資金がない場合、売却額だけでは完済できないため任意売却などのステップを利用しますが、金融機関と交渉したり各種書類を準備したりなど手間がいろいろかかります。
債権者が複数いる場合は、よけいに面倒になるおそれがあります。
相場よりも安い価格での売却になることがある
通常売却時よりも低い売却額になる可能性があります。
任意売却を始めた後、金融機関は売却できるまでいつまでも気長に待ってくれるわけではありません。
一定期間が過ぎて売れなければ、競売にかけられてしまうでしょう。
そのため早期売却が必要ですが、せかせか売ると、最終的に市場価格よりも低く売ってしまうきらいがあります。
オーバーローン時の不動産売却の方法
オーバーローン時の不動産売却方法は、前述の任意売却以外にもあります。
以下の表は、それぞれの方法のメリット・デメリットを示したものです。
任意売却 | 住み替えローン | 不動産業者による買取 | リースバック | |
メリット | ・競売よりも高く売れる ・残債を分割払いでき自己破産を回避できる | ・残債があっても新居を買える ・旧居と新居のダブルローンを防げる | ・短期売却しやすい ・売れ残りにくい ・内覧やクリーニングなどについて考えずにすむ | ・住み慣れた家にそのまま住める ・固定資産税などの諸費用支払いがなくなる |
デメリット | ・金融機関との交渉が煩雑 ・競売までのタイムリミットがある ・信用情報に傷がつく | ・一般的な住宅ローンより金利が高め ・審査は厳しめ | ・仲介による通常売却より売却額が低め ・買取不可のケースもある | ・相場より安い売却額になることがある ・相場より高い家賃になるケースもある ・所有権を失う |
それぞれの売却方法の概要をご紹介します。
任意売却
オーバーローン時に、不足分をカバーする自己資金がない場合の、主な選択肢です。
繰り返しになりますが、任意売却では、金融機関からの同意が必要です。
金融機関との交渉の上、一定期間までに売却をすませる必要がありますが、競売にかけられるより高く売却できます。
住み替えローンを利用した売却
住み替えローンとは、不動産売却後に残ったローン残債と、新居を購入するためのローンを一本化できるローンです。
たとえば現在住んでいるマンションの残債が1,500万円で売却額が1,200万円、新居の価格が3,000万円だとします。
マンション売却額を返済にあててもまだ300万円の残債がありますが、住み替えローンではこの300万円と新居購入に必要な3,000万円の合計3,300万円を、1つのローンとしてまとめられます。
この方法だと、オーバーローンでも新居購入ができるほか、ダブルローン(今組んでいるローンと新居のローンを別々に組むこと)の負担を回避可能です。
ただし金融機関によっては審査条件が厳しい可能性もあるほか、金利が少々高いといわれています。
不動産業者による買取
不動産会社に仲介してもらって買い手を広く探すのではなく、不動産会社などに不動産を売却する方法です。
買取は、仲介による売却では苦戦する場合でも早く売れやすいほか、不動産会社などが直接購入するため内覧準備をしなくてもよい点などがメリットです。
ただし仲介より安く売られることが一般的です。
リースバック
リースバックは、不動産会社などに物件を売却した後、同じ家に家賃を払って住み続ける方法です。
住み慣れた家にそのまま住めるため、生活環境を変えたくない場合によいでしょう。
また所有権がないことで固定資産税や管理費などの支払いから解放されるメリットがありますが、同時に家の改変を勝手に行えないデメリットもあります。
また相場より安い売却額になったり、相場より高い家賃が設定されたりするケースもあるため、慎重な判断が必要です。
ローンが残っている不動産を高く売るための3つのポイント
ローンを払い終えていないうちに売却する場合、売却額で残債を少しでも減らせるよう、高く売却したいものです。
そこで、高値売却を実現する3つのポイントをご紹介します。
「売却」に強い不動産会社を検討する
不動産会社の実績や得意分野は一律ではありません。
マンションが得意な会社もあれば、そうでない会社もあります。
また売却に強い会社、賃貸に強い会社もあるでしょう。
売却を得意としている不動産会社に協力してもらうことで、より早く高く売るための下地を整えやすくなります。
ベストなタイミングを選ぶ
売却時期が遅くなればなるほど、ローン支払いの負担や、諸費用(固定資産税や修繕積立金など)が生じます。
出費が多くなれば、売却額が実質的に目減りしてしまうことになります。
また築年数が経つことで売却可能額が低くなりかねません。
そのため、早期売却を実現することが、「高く」売るポイントになります。
写真や内見にこだわる
不動産の魅力は売り出し方によって左右されるため、不動産の魅力を最大限訴求する工夫が必要です。
たとえば、写真や内見にこだわるのは手です。
清潔感や間取りがよく伝わる見やすい写真は、閲覧した人の関心を誘います。
また内見時にホームステージング(小物や照明・家具などで物件を魅力的に見せる演出)を実施すると、訪問者の印象をよくできます。
このように不動産の魅力をいかに分かりやすく伝えるか考えることも、高く売る秘訣です。
住宅ローンが残っている不動産売却における諸費用と税金
ここからは、住宅ローンが残っている不動産の売却にかかる費用をご紹介します。
また税金関連の役立つ情報もあわせて解説します。
不動産売却にかかる費用
売却時にかかる費用には、以下のようなものが挙げられます。
仲介手数料:不動産会社に支払う手数料
抵当権抹消登記費用:住宅ローンを完済した場合に金融機関が持つ抵当権を抹消するための費用
一括返済費用:ローンの繰り上げ一括返済にかかる手数料
その他:測量費用や解体費用、引っ越し費用など
不動産売却時の税金
以下のような税金もかかります。
譲渡所得税:不動産売却により利益が出た場合に払う税金
印紙税:売買契約書に貼付する印紙費
なお税金については、特例を適用することで節税につながることがあります。
次の見出しでは、売却益が出た場合と売却損が出た場合に使える制度をご紹介します。
売却益が出た場合の税金
売却益が出た場合(売却額が取得にかかった費用全般より高い場合)は、以下のような制度を使えます。
・マイホームを売ったときの特例:譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例
・マイホームを売ったときの軽減税率の特例:所有期間10年超不動産の譲渡所得の税率が安くなる特例
・特定のマイホームを買い替えたときの特例:譲渡所得に対する課税を繰り延べられる特例
売却損が出た場合の税金対策
売却損が出た場合(売却額が取得にかかった費用全般より安い場合)は、以下のような制度を使えます。
・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:譲渡損失を給与所得やほかの所得と損益通算できる特例
どのような特例が適用できそうか、不動産会社に相談してみましょう。
状況別にみる住宅ローンが残っている不動産売却の注意点と売却の進め方
ここからは、ローン残債がある状態での不動産売却の注意点を、状況別にご紹介します。
代表的なシーンを集めましたので、自身のケースに当てはまる場合は参考にしてください。
離婚による不動産売却のケース
離婚により不動産を売ることになった場合は、親権問題など離婚に伴う手続きと並行して進める必要があります。
また残債は財産分与の対象となる点に注意が必要です。
アンダーローンだと売却額の残った分を分けるのみですが、オーバーローンでは残債が残るため、負担の仕方について話し合わなければなりません。
また、住宅ローンの名義や連帯保証人の問題も発生するため、専門家(弁護士や不動産会社)に相談し、状況に合わせた売却方法を選択することが重要です。
住み替えによる不動産売却のケース
住み替えによる不動産売却では、新居の購入資金や引っ越し費用など、資金計画を慎重に行う必要があります。
また売却してから新居を買う「売り先行」か、新居を購入してから家を売る「買い先行」かのタイミングを考えることもポイントです。
それぞれメリット・デメリットがあり、どちらを先にするかで売却計画に違いが出ます。
ローン残債と売却額のバランスも考えつつ、現実的なスケジュールを立てることが大切です。
相続した不動産を売却するケース
相続した不動産を売却する場合は、相続登記や遺産分割協議など、相続に関する手続きが必要になります。
相続不動産の住宅ローンが被相続人の死亡時に返済されるかどうかは、「団体信用生命保険」加入の有無などによって変わるため、その確認も必要です。
転勤のため不動産を手放さざるを得ないケース
転勤時は、転勤先での住居確保や引っ越し準備などさまざまな手続きを進める必要があります。
転勤までの準備期間がどれくらいあるかにもよりますが、あまり時間がない場合、金融機関や職場との入念な話し合いが必要でしょう。
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まとめ
住宅ローンが残っていても不動産売却は可能です。
アンダーローンの場合は、売却額をそのまま残債の返済にあてるシンプルな手続きになります。
一方オーバーローンの場合、自己資金がないと金融機関への相談をする必要があり、手続きが煩雑になりがちです。
いずれにしても、早く高く売却を行うことで、残債を効率的に減らしやすくなります。
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