マンションを売却する理由は人それぞれですが、よくある理由としては「住み替え」「資産整理」「転勤・転職」などが挙げられます。
中には売却理由が「事故物件」「老朽化」などといったネガティブな場合、売却額が下がったり、成約までの時間が長くなったりと、少なからず影響が出る場合があります。
そのためネガティブな売却理由があると、告知をすべきかどうか、どのように告知すべきか悩む人もいるでしょう。
本記事ではマンション売却のよくある理由を項目別にご紹介します。
また売却理由と売却プロセスの関連性について解説するとともに、ネガティブな理由がある場合の告知方法についても取り上げます。 マンション売却を検討中の方は参考にしてください。
マンション売却のよくある理由【項目別】
マンション売却の理由は人それぞれですが、代表的な理由を以下3つの項目に分けて解説します。
・資金や税金など金銭的な理由
・仕事・家庭などの環境や状況の変化による理由
・物件・周辺環境などのトラブルに起因する理由
ポジティブな理由もあれば、ネガティブな理由もあります。 各項目は細分化されますが、本記事では合計13の理由を取り上げます。
資金や税金など金銭的な理由
売却の理由として多いのは、資金や税金などお金に関連した理由です。
お金の工面や負債に関連したものですが、主要な4つの理由を見ていきましょう。
なおいずれの理由も、買主にとってネガティブな理由ではありません。
資金整理
よくある理由の1つは資金整理です。
具体的には以下のようなシチュエーションがあるでしょう。
・大きな買い物や負債のためにマンションを売って現金化したい
・以前住んでいたマンションが空き家状態で用途に困るため売りたい
資金整理は売主がほかのところで現金を必要としているか、単に不動産から現金へと資産の形を変えているだけです。
そのため買主にとってネガティブな理由ではありません。
相続税の支払い
相続税支払いのための資金確保で、マンション売却が必要なケースもあります。
相続税の支払いには時間的制約があります。
原則、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月目の日」までに現金納付しなければならないため、支払い資金としてマンション売却に追われるパターンもあるようです。
この場合、マンションに問題があるわけではないため、ネガティブな理由ではありません。
相続税の支払いについては、あわせて以下の記事も参考にしてください。
住宅ローンの支払いトラブル
住宅ローン返済のために売却する人もいます。
毎月の支払いに追われて資金繰りが難しくなったために、売却してローンを完済したいケースです。
こちらも売主にとっては残念な理由かもしれませんが、物件自体の問題ではなく、買主にとって不利な理由ではないでしょう。
以下の記事では住宅ローンの支払い問題を回避する方法や、すでにトラブルが起きた場合の対処法について解説しています。
あわせてご覧ください。
投資目的
マンションを投資目的で購入し、価値が上がった段階で売りに出すパターンです。
賃貸収入目的でマンションを購入する人もいますが、売却を前提として購入する人も少なくありません。 純粋な投資目的の売却であれば、物件そのものの問題ではないため、ネガティブな理由ではありません。
仕事・家庭などの環境や状況の変化による理由
マンション売却理由には、仕事や家庭に起因するものもあります。
こちらの項目に関しても、とくに買主にとってマイナス要素とはなりません。
あくまで売主のプライベートに関する理由です。 該当する5つの理由をご紹介します。
仕事環境の変化(転勤・転職)
仕事環境の変化ゆえに、別の地域へ引っ越すため売却する人がいます。
「長期にわたる転勤を命じられた」「転職で地元にUターンする」など、現在の居住地に戻る予定がない場合、マイホームであるマンションを売却するかもしれません。
結婚・出産など家族構成の変化
家族構成の変化も、マンション売却につながる場合があります。
「結婚したので心機一転マイホームを買い替えたい」「子どもがうまれたので、手狭なマンションから広いマンションに移りたい」など、世帯構成員の変化によって引越しを考えるケースです。 このような住み替えは売却の中でも、とくによくある理由のようです。
子どもの独立や引越し
家庭環境の変化でいうと、子どもの独立や引越しも理由になることがあります。
子どもが成人して実家を出たり、結婚を機に世帯を離れたりした結果、夫婦だけになったために住居を替えるかもしれません。
広いマンションからコンパクトなマンションに住み替えたり、都心から地方へ引っ越したり、といったケースです。
親との同居や介護
高齢や病気による親との同居・介護が必要で、現在のマンションを手放すケースもあります。
親が遠方に住んでいるため、サポートや介護で通うことができず、実家に引っ越すか近場に移る決断をするかもしれません。
離婚
離婚もマンション売却でよくある理由でしょう。
夫婦が別々の道を歩むことになり、居住していたマンションを後にするケースです。
離婚による売却は売主にとってネガティブな理由かもしれませんが、買主にとっては無関係な話であり、購入する際のネガティブな要素にはならないでしょう。
物件・周辺環境などのトラブルに起因する理由
物件・周辺環境のトラブルもマンション売却のよくある理由です。
これまでの項目とは異なり、この項目はいずれも売主と買主双方にとってネガティブな売却理由となりえます。
考えられる理由を4つご紹介します。
マンションの老朽化や不具合
マンションの老朽化や不具合が理由で、もっと新しい住居に住み替える人がいます。
「築年数が古くてあちこちに傷みがある」「設備が古くて快適ではない」など、物件の状態が良くないと、引越しを考える人が出てくるでしょう。
売却タイミングとしては、大規模修繕の前後を検討する人が少なくないと思われます。
マンションは12~15年周期で大規模修繕工事が行われる場合が多いです。
大規模修繕は回数を重ねると積立金が高くなる傾向があるため、修繕前に売却してしまおうと考える人がいるでしょう。
反対に、修繕直後で外観や設備が良くなったタイミングを見計らって売却したいと思う人もいるでしょう。
いずれにしても、老朽化や不具合が理由のマンション売却や、大規模修繕が行われる築年数の経ったマンションの売却は、買主にとって多少なりともネガティブな要素となりえます。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、不動産取引において売主や買主が心理的な嫌悪感や抵抗感のある物事を指します。
具体的には、売却予定のマンションで自殺や孤独死、他殺、事故死などがあったケースです。
こうした出来事があると、売主としてはマンションを処分したいと考えるかもしれません。
「出来事を思い起こすので住めない」「気持ちを一新させたいので引っ越したい」といった具合です。
心理的瑕疵は買主にとってネガティブな理由です。
たとえ心理的瑕疵による出来事があったとしても、マンションの居住性や機能性に物理的な悪影響を及ぼしていないかもしれません。
あるいは多少影響があったとしても、すでにクリーニングやリフォーム済みで快適な場所になっているかもしれません。 とはいえ売り買いするのは人間であり、やはり心情的に購入をためらう買主はいます。
近所とのトラブル
いわゆる「ご近所トラブル」ゆえのマンション売却も想定されます。
「隣近所との仲が悪く出ていきたい」「問題のある住人がいて騒音や汚れなどが気になる」など、近隣でなにか不快な状況を生み出しているものがあり、引越しを考えるケースです。
この種の理由は、買主にとってネガティブな理由になることもあれば、ならないこともあります。
たとえば、売主が個人的に近所の誰かとトラブルを抱えており、ほかの住人には無関係だとしたら、マンションではなく人間関係の問題であるため、ネガティブではないでしょう。
一方、特定の住人(マンションの住人や近隣の住民)が、無差別的にマンションの住人に迷惑行為をしているなら、ネガティブな要素が残ることになります。
周辺環境の問題
周辺環境の問題が原因でマンションを売却する人もいるでしょう。
「工事が頻発していて常に騒音がある」「近くに墓地や暴力団事務所がある」「ごみ処理施設が建設される予定」など、多少なりとも物理的・心理的な快適性に支障をもたらす要因があるケースです。
このような理由も、やはり買主にとっては喜ばしくない要素です。
マンション売却の理由は売買契約に影響する!?
マンション売却の理由は、売買プロセスや契約の内容に影響をもたらす場合があります。
ネガティブな要素があれば、以下のような結果になりかねません。
・売却額が目減りする
売り出し価格をどのように設定するかにもよりますが、最終的な成約額が売り出し価格より下がるおそれがあります。
買主にとってネガティブな売却理由がある場合、「割安感」を演出するために値下げしないといけない場合があるからです。
同じような条件のマンションが近くにあって、そちらの売却理由にマイナス要素がなく、しかも価格が同等であれば、自分のマンションは選ばれない可能性が高くなります。
・売却するのに時間がかかる
割安感があったとしても、買主が売却理由に大きく反応するなら、購入に至らないかもしれません。
たとえば霊的な物事に「敏感」な人であれば、「事故物件のマンションにはどうしても住めない」と感じる可能性があります。
または、これから数十年住もうと思っている人であれば、築古で老朽化も目立ってきたマンションを買いたいとは思わないはずです。
このように買主がなかなか現れず、売却期間が長期化するリスクがあります。 なお売却期間については、以下の記事で関係する要素について解説していますので、あわせてご一読ください。
マンション売却理由の告知の必要性と告知するときのコツ
マンション売却の理由によっては、買主に告知が必要な場合と不要な場合があります。
それぞれの場合について詳しく解説します。
告知が必要なとき
まず告知が必要なケースを見ていきましょう。
代表的なケースを挙げますが、ほかにも類似するケースで告知が必要になるかもしれません。
告知が必要とされる理由
買主の売買判断に影響を与えそうな売却理由であるなら、告知すべきです。
具体例は以下のとおりです。
・物件に物理的な不具合がある(雨漏り、音漏れ、建具の老朽化、設備不全など)
・心理的瑕疵(他殺、自殺、特殊清掃が必要な自然死や事故死のあった事故物件など)
・周辺環境の問題(ご近所トラブル、周辺に不快な建物や人物がいるなど)
ポイントは、買主の立場に立ったときに、「売却理由を聞いて著しく不快に感じるか」「今後の生活に悪影響があるか」を考えることです。
感じるようであれば、告知すべきでしょう。
もし告知せずに契約し、後になって事情が分かれば、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)に問われかねません。
その場合、損害賠償や契約解除などにつながるおそれがあります。
告知するときのコツ
告知する際は、まず不動産会社に売却理由を正直に説明しましょう。
「身内が自殺して辛いので引っ越すことにした」「築年数が古く老朽化している箇所があるため住み替える」など、担当者に話します。
その後、買主に対してどのように伝えるかを担当者に相談してみましょう。
不動産会社の方はさまざまな顧客とやり取りしているため、ネガティブなことを上手く伝える方法を熟知しています。
買主に対して誠実に情報を伝え信頼を得ることで、売却まで円滑に進むことでしょう。
また告知するときに、以下の点に留意すると効果的かもしれません。
・問題の解決策を提示する(建物の不具合はリフォームで対応可能であることを伝えるなど)
・割安感を強調する(売却理由を踏まえて競合物件や相場より安く売り出していることを伝えるなど)・物件の魅力を伝える(そのマンションならではのメリットを説明し、デメリットを上回る魅力があると強調するなど)
告知が不要なとき
売主の個人的な事情で売却したり、日常生活や時間経過で想定される問題ゆえに売却したりする場合は、告知が不要と考えられます。
具体的には以下のようなケースです。
・資金的な問題
・転勤や転職による仕事環境の変化
・結婚、出産、離婚などの家庭環境の変化
・個人的なご近所トラブル(自分にのみ関連したトラブル)
・単に築年数が古い場合(重要事項説明書に明記されている)
・老衰や自然死など日常で起こることが想定される死(特殊清掃などが不要なケース)
もちろん、これらの理由を伝えることに抵抗がなければ、告知を選択してもよいでしょう。
人によっては売却理由が明確でないと懐疑的になるかもしれず、告知することで安心感を与えられるかもしれません。
いずれにしろ、告知の必要性や伝え方に困った場合は、不動産会社に相談するようおすすめします。
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またTV会議やWEB手続きなどで、遠方でもスムーズな手続きが可能です。
まとめ
マンション売却のよくある理由として、金銭的な理由や仕事・家庭環境の変化、物件・周辺環境のトラブルなどが挙げられます。
売却理由は必ずしも買主に告知する必要はありませんが、告知義務がある項目もあります。
本記事でご紹介した告知のコツを参考にしつつ、また不動産会社への相談も行いながら、売却活動を進めてください。
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